日経記事に学ぶビジネスモデルタイトル画像
   2007年7月23日 第74号
日経MJ 2007年6月27日(水)付け 27面
広告特集「小売業とIT」進化する流通プロモーション編
使い勝手が支持されて急成長する
衣類と雑貨の「ネット卸」ブランド ラクーン「スーパーデリバリー」

スーパーデリバリーの概念図
通常は一般記事からのピックアップですが、今回は広告面から取り上げてみました。株式会社ラクーンの全面広告です。仕組みとしては誰でも考え付くことですが、誰にも真似ができないものを築くには、その部分は常に磨きをかけなくてはならない。それがコアコンピタンスであり、ユニークセリングプロポジション(USP)です。

   記事内容からのピックアップ

 <記事リード>
 インターネットを活用した「卸サイト」が活気づいている。 なかでも一万社を超える会員数を誇り、ネット卸業界を牽引する勢いなのが、 衣料品と雑貨を中心にしたラクーンの「スーパーデリバリー」だ。 マーケットは「地方」「小さい」「新しい」小売店にあるという同社は、 現在、更なる会員数拡大を図り、サイトのブランド化を推進中。 新しい仕入れスタイルの浸透を目指している。

   スーパーデリバリーの規模
 小売店会員数:11,000社
 供給側企業数:700社以上
 取扱いアイテム数:11万点以上

   四つの利点
 1.セレクトショップの利便性に対応
  ・消費者ニーズの多様化に即応するアイテム数の豊富さ。
  ・選びやすさ、対応の速さ。

 2.地方の小さいショップに対応
  ・小売会員の7割が東京、大阪以外のエリアに広く分散。

 3.参入の垣根が低い
  ・会費は小売会員が月二千円、販売企業会員が月四万円。

 4.安心決済
  ・商品は販売企業から直送
  ・代金回収は「スーパーデリバリー」が代行

   ラクーンの沿革
 もともと企業の過剰在庫をさばく目的で「オンライン激安問屋」から出発。
 現在主軸は完全に新作と定番商品中心の「スーパーデリバリー」となった。

   新しいサービス機能<小売店のサポート機能を強化、経営アシストへ>
 ・サイト検索機能強化
 ・売れ筋情報提供
 ・販促情報提供
 ・物件情報
 ・ローン紹介
 ・容器、包装

   オンライン激安問屋とスーパーデリバリーの違い
 ・取り扱い品:アウトレット品(激安価格)と新商品と定番品
 ・お届け:メーカー直送と同社配送
 ・注文数量(ロット):比較的大きめ(まとめて安く)と1点から
   セレクトショップってなに?
 単一のブランドやデザイナーに固定せずに、 店舗(ショップ)のオーナーやバイヤーが自分のセンスで選んだ国内外の様々なブランド、 デザイナーのアイテム(服飾関連とは限らない)を扱う店舗のこと。

 セレクトショップは、オーナーやバイヤーが選んだもののみを陳列。 メーカーやデザイナーの名前にとらわれないため、競合ブランドで編成された品揃えもある。 ショップによってはファッション関連(服とバッグ、靴など)以外に、 雑貨やアクセサリーなど幅広いジャンルを扱っているところも多い。
 店のセンスに消費者が共感すれば、流行の発信源になるケースも多い。
 パリには、無名デザイナーの登竜門といわれるセレクトショップがあるそうです。 そのようなセンスの良いショップオーナーに作品を評価され、 店に置いてもらうようになれば新たなステータスが備わることになります。

   仕組みだけではない、コアコンピタンスを
 上記のようなセレクトショップは結構商店街の中にも目立つようになってきていますね。 ただ、ショップオーナーのセンスが重要になりますね。 オーナーの商品をセレクトする価値観、思想、店舗運営のコンセプトなどがセレクトされた商品以上に 消費者にヒットするような気がします。消費者がある種のステータスを感じることができ、 共感が得られるようなお店作りができるかどうか。 そのようなセレクトショップオーナーの仕入れニーズに応えることができるかが 「ネット卸」のキーポイントでしょう。仕組みだけではおそらくどこも似たり寄ったりになるでしょうから。

   関連サイト
 ・スーパーデリバリー
 ・オンライン激安問屋「ラクーン」
座右の戦略立案支援フォーム「ソリューションスーツ」  韓国風味辛みそをどうぞ!
   コアコンピタンスとUSPというキーワードに関する情報
NRI経営用語の基礎知識から
コア・コンピタンスとは、G・ハメルとC・K・プラハラードの著書『コア・コンピタンス経営』 (日本経済新聞社)によって広められた概念で、他社に真似できない核となる能力のことです。 この著書では、「顧客に特定の利益を与える一連のスキルや技術」と説明されています。

ユニーク・セリング・プロポジション
テッグ・ベンツ広告代理店の創立者のひとりロッセル・リーブスが提唱したコンセプトで、 広告は消費者にある製品をライバル社の製品から区別して購買するための論理的根拠を提供しなくてはならないというもの。