セブンイレブンというとフランチャイズ(FC)システムについて理解しておかなければならない。
FCシステムは、FC本部と加盟店という契約関係で成立している。
互いの役割分担の詳細はフランチャイズシステムを参照してください。
上図の緑色の部分が本部として提供・維持・発展担当している部分です。
(代表的なものだけピックアップして図にしています)
また、他社とのアライアンスなどで消費者サービスを拡充しています。
商品開発、ネット利用などさまざまな分野で消費者に生活に密着しています。
店舗は経営と販売に専念することになります。
契約期間は15年間で、土地・建物をオーナーが用意するはしないかで発生する費用の内容が違いますが、
本部のチャージは売上総利益にチャージの率を乗じた金額になります。
ロードサイド(路面)店は別にして、主にその商圏は小さく、店舗や事業の規模もそんなに大きくはなく、
地域の生活者が大切な顧客になります。
総じて言えることなのですが、フランチャイズビジネスは加盟する側から見ると、
小商圏・小規模・地域密着型と言えるでしょう。
つまり、この枠組みが基本になり枠組みが大きくなる場合には、
資本も大きくなり個人の参加できるFCビジネスにはなり得ないことになります。
出店数は12,000店を超えています。まだ出店していない地域もあり、まだ余力が残されています。
出店戦略はドミナント化といって、該当地域に集中的に多店舗出店します。
こうすることで物流などの効率的なネットワークが出来上がるわけです。
こうした店舗数がいろいろな消費者サービスを際立たせるカギになってます。
身近にあることが来店頻度、サービス利用に欠かせない。
各社がセブンイレブンに着目せざるを得ない状況を作り出しています。
本当のFC本部のノウハウとは、なんでしょうか。
物流システム・情報システム・商品開発・研修教育システムなどいろいろ挙げられますが、
客観的に事業成功にもっとも強烈なノウハウは出店に関するノウハウで、
立地や物件の確保とその選定と評価なのかもしれません。
この力の相違がステークホルダから見るとチェーンの魅力にもつながっています。
さて、セブンイレブンの規模と販売力は次のようになっています。
店舗数 12,073店舗(平成20年10月現在)
売上高 25,743億円・12,034店舗(平成19年)
店舗あたり売上高 約2億1392万円/年。一日あたり売上高は、約59万円。
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出店数の推移やエポック的なものを取り上げてみると次のようになります。
1974(S.49) 5月 第1号店出店(東京都江東区・豊洲店)
1975(S.50) 6月 24時間営業開始(福島県郡山市・虎丸店)
1976(S.51) 5月 出店数100店舗達成
1980(S.55) 11月 出店数 1,000店舗達成
1984(S.59) 2月 出店数 2,000店舗達成
1993(H.5) 2月 出店数 5,000店舗達成
1999(H.11) 3月栄養ドリンク剤販売開始
1999(H.11) 11月 出店数 8,000店舗達成。
イー・ショッピング・ブックス取扱い開始。インターネット代金収納サービス開始
2000(H.12) 2月 電子商取引(EC)事業の「株式会社セブンドリーム・ドットコム」設立
(同年7月よりサービス開始)
2000(H.12) 8月 お食事配達サービスの「株式会社セブン・ミールサービス」設立
(同年9月よりサービス開始)
2001(H13) 5月 アイワイバンク銀行(現 セブン銀行)の店内ATM(現金自動預け払い機)設置開始
2003(H.15) 8月 出店数 10,000店舗達成
2005(H.17) 2月 アイワイバンク銀行(現 セブン銀行)のATMを9,652店舗に設置
2006(H.18) 5月 チケット販売のイープラスと提携、サービス開始
2007(H.19) 3月 インターネットを活用したサービス「お取り寄せ便」開始
2007(H.19) 4月 独自の電子マネー「nanaco(ナナコ)」導入開始
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■ 編集後記
コンビニの利用者はすでに若者ばかりでなくなりつうあります。
消費高齢化社会に突入しているため、サービス内容や商品構成も徐々に変えていかなくてはなりません。
ご近所にあった昔の酒谷さんや米屋さんが行っていた「御用聞き」と「宅配サービス」は
今後重要な位置づけになることでしょう。
将来の展望としての留意事項などを列挙してみます。
・人口動態の推移から言えること。
年代別消費支出の内訳を知り、自店の地域特性を捉え、商品構成やサービスの充実を図る。
今後10年間第二次ベビーブーマーが消費の牽引を果たす。
20代までの人口が激減する。
・高齢化が加速すること。
・高齢者のための雇用確保が人で不足のポイントになってくる。
・安心安全と地域社会の活性化に貢献。
・高齢者に対する商品、サービスの開発が重要になってくる。
・スマイルカーブから見る高付加価値ビジネスの萌芽として指摘されていることがある。
御用聞き、宅配サービス。
技術革新による生産と消費の現場の接近。
情報のネットワークと物流業者のネットワークがインフラを担当。
・小規模起業の将来はFCシステム化による事業パッケージが成長の源になる。
特にコモディティ商品を扱う場合にはそれは避けられない。
起業の際にはサービス分野関連が魅力的で競争力がある。
・FCシステムは小規模・小商圏・近隣型。
家族経営・パートアルバイトの活用といった側面がある。
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ビジネス方法としては敷衍できるものだと思います。
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