『こ
のマーケターに学べ−世界を変えた12人の天才たち−』
ダイヤモンド社 マーシャ・ターナー著 小高尚子訳からジェイ・コンラッド・レビンソンの部分を引用要約しています。
はじめに
い
まや一般的になった「ゲリラマーケティング」という言葉をつくったのは、ジェイ・コンラッド・レビンソン。1983年に「ゲリラマーケティング」という本
を出版して小規模ビジネスの世界に革命を起こした人物だ。この本は、無駄のないタフな中小企業が正しい戦略を通してライバルの大手企業を出し抜いた事例を
たくさん取り上げ、中小企業の経営者たちのマーケティングやセールスに対するアプローチを変えた。
■
<ゲリラマーケティン
グ>は、大きな企業に勝つために確立し利用すべき競争優位が小規模ビジネスにあると前提する。巨額のマーケティング予算を持てない小規模ビジネスは、競争
に負けず顧客を引きつけ、維持するためには、革新的でありながら低コストの戦術を使う必要がある。
初
期のゲリラマーケティング
■ レビンソン自身のルーツをた
どると大企業の世界に行きつく。レオ・バーネットという広告会社での秘書に始まり、コピーライター、クリエイティブ・ディレクター、そして副社長ととんと
ん拍子に出世していった。
■ コロラ
ド大学で心理学の学位を取得したレビンソンには、何かを書きたいという夢があった、広告業界は、そんな彼がキャリアを始めるにはぴったりだと思われ
た。五年問レオ・バーネットにいた後、J・ウォルタートンプソンというシカゴにあるこれまた大きな広告会社に移った。だが、1971年、そこに移って三年
がたち、レビンソンはもうシカゴにも飽き飽きし、大きな広告会社で働きたくもないと思うようになっていた。そこで、自分が本当に行きたかったサンフランシ
スコの街に移り、コンサルティング会社の経営を始めた。
■
広告会社時代のように大企業と仕事をするのではなく、レビンソンはマーケティングに関するアドバイスが必要な小さな企業と仕事を始めた。ところが、彼が大
手企業のために使っていた戦略やテクニックのほとんどは、小さな企業にはまったく手の届かないものだった。自分が学んだことのほとんどすべてが、小規模ビ
ジネスではうまくいかない。そんな状況に直面し、彼は低コストでも通常のマーケティング戦略がもたらすのと同じような成果、場合によってはそれを上回る成
果をあげる新しい戦略を練り始めた。
■ コンサルティング業のかたわ
ら、レビンソンはカリフォルニア大学
バークレー校で「無職で生
計を立てる方法」というタイトルの公開講座を持っていた。後に彼の最初の本のタイトルにもなったこの講座は大人気だったが、どうやら学生たちは彼が授業中
に紹介していたマーケティング戦略が目当てだったようだ。
だから、レビンソンはそれに応えるためにマーケティングのガイドブッ
クを書いた。
<ゲリラマーケティング>いうタイトルは、かなり制約のある予算の中で、成長性、収益性、成功といった通常のゴールを達成するために型破りな方法が必要と
される小規模ビジネスにぴったりのようにレビンソンには思えた。
■ <ゲリラマーケティング>は
中小企業
が大企業を出し抜くのに大
いに貢献したが、皮肉なことにそのせいで全米でも有数の企業がいまやゲリラ戦術を使い始めている。アップル、マイクロソフト、GTEなどフォーチュン
100に名を連ねるような大企業からゲリラマーケティングのプレゼンテーションを、という要請があった。フットワークが軽く、アグレッシブな中小企業に勝
つために、こうした要請はこれからも増えるだろう。
ジェイのマーケティングルール
■ ゲリラマーケティングのコン
セプトは、「小規模ビジネスも巨大企業のいちばん弱いところを突くことで競争に勝つチャンスが生まれる。それはゲリラ戦士が正規軍を攻撃するのと同じこと
だ」とナイトリッダー紙のレポーターはいう。
マーケティング・キャンペーンがあげる効果に対する期待水準が高いし、大企業には単純すぎるとこれまで考えられてきたツールやテクニックを使う。ゲリラ
マーケティングでは1ドルの効果が大きく、よりよい効果が得られるのが利点。その結果、ゲリラキャンペーンはじわじわと大企業の競合他社の売上げやプロフ
イット・マージンに食い込んでいくことになる。
■
レビンソンはいう。「ゲリラ戦術は、必ずしも教科書的な戦術を凌ぐものではない。だが、ゲリラ戦術は、高くつく標準的なマーケティングの代わりとなるもの
だ。最低限のコストと最大限の知恵で売上げを増やしてくれる。大盤振舞いをしている企業がしていることを、彼らが行っている無駄を省いたカタチで学ぶこと
ができる。金の力ではなく、自分の頭脳の力を使って」。
■ レビンソンおすすめの
ゲリラ兵器のほとんどは、すでに試さ
れ、確立されたマーケティング手法を改善したものだ。たとえば、名刺。名前、役職、住所、電話番号、ファックス番号、eメール
アドレスといった基本的情報を並べ立てるだけではなくて、
自社商品のベネフィットをわかっても
らえるようなポジショニングに関する情報も入れることを彼はすすめる。
■
ほとんど使われることのない名刺の裏側に、情報を入れるのもスマートなやり方だ。トップマーケターであるセス・ゴーディンも自らが書いたビジネスガイドを
プロモーションするために、名刺の裏に航空会社数社のフリーダイヤルの番号を刷った。ゴーディンがいうには、「みんなの役に立つ情報を名刺に入れるのにか
かったコストはほとんどゼロなのに、それを入れたことでこの名刺が旅をする人たちには欠かせない持ち物になったのだ」。
■ マーケティング戦術には、新
聞や雑誌の広告、ニュースレター、ダイレクトメール、PR、セールス電話、看板といった通常のツールも含まれる。だが、そういったツールがゲリラ戦術を通
して通常のやり方よりも効果をあげるには、
ク
リエイティブなひねりを加える必要がある。通常の正規の広告枠ではなくて、劣った枠を確保するよう広告会社に求めるというよう
に。
出版物やテレビ、ラジオなどどんな媒体であれ、枠を選べず、ともかく余ったものしか手に入れられないが、その分値段は破格に安い。広告枠が売れ残るかどう
かは最後までわからない、そんなタイミングで枠を買って、そこに合わせたサイズの広告をつくれる柔軟性と反応の速さを持っているのは、ゲリラマーケターだ
けだ。
■
フリークェント・バイヤー・プログラムやビデオパンフレット、アフィニティ・マーケティング、友人の推薦などちょっとした工夫やアイディアから生まれたゲ
リラマーケティングのツールが、数億ドルという巨額のマーケティング予算を凌ぐ効果を出した例は豊富にある。
体系立った計画をもとに、さまざまな
ツールを統合していくのが成功の秘訣だ。
実行の前に計画せよ
■ どんなすばらしいゲリラマー
ケティング・プログラムも、まずはマーケティング・プランをつくるところから始まる。
別に「ハーバード大学MBA公認マーケ
ティング・プランじゃなくていい。
ナ
プキンの裏にちょこちょこっと書いたものでかまわない。七つの文に収まるように書きさえすれば」。
プランがシンプルなほうが、従業員、取引先、投資家、役員会、マーケティング関連の協力会社に対して説明しやすいし、彼らもプランを実行するにあたっての
自分の役割を明確に理解できる。
■ 最初の一文は自分のプランの
目的を明らかにするものだ。
二番目には
自分がフォーカスする顧客にとっての
ベネフィット。
三番目には
狙っているターゲット市場。
四番目にはレビンソンがいうところの武器、いわゆる
マーケティング・ツールについて書
く。
五番目には
市
場における自社の位置付け(顧客および見込み客の頭の中で位置付けられている場所)。
六番目には
自社のアイデンティティを説明する。
七番目にして最後の一文には、
マー
ケティング予算額と、総売上高の何%かをはっきりと書く。
■ べーシックなマーケティン
グ・プランを決めた後は、
予
定どおりにプランが進行するように全体を管理していく。レビンソンのおすすめは、
52週のカレンダーを作成して、予定
されているツールを目に見えるカタチでモニターすること。
一週ごとにどのターゲットに到達しようとしているのか、どのマーケティング武器を使うのか達成目標は何なのか、いくら使う予定なのか。こういった項目を見
ていけば、白分が使った費用からどれだけの効果があがっているのかわかる。逆に、効果が思うほどあがっていないところがわかれば修正もできる。一週ごとに
自社のプログラムをAからFの評価スケールで採点してみるのも、繰り返し使う価値がある武器かどうか見極めるのに役に立つ。
■
刻々と変わる状況に合わせて調整し、修正をしていくこの柔軟性こそがゲリラマーケティング・プログラムの特徴だ。ゲリラマーケターには、損を取り戻すため
にさらに資金を投入する余裕はない。だから、マーケティングに使った資金があげた効果を注意深くモニターする。あるツールに投資しても目標が達成されてい
ないと判断すれば、もっと効果的なツールに投資先を変える。記録をきちんととって、それに合わせて調整をするには、筋の通った、考え抜かれたマーケティン
グ・プランが必要なのだ。
一貫性を目指せ
■ ゲリラマーケティングの成功
の鍵は、ともかく一貫性、一貫性、一貫性だ。言い換えると、
顧客や見込み客に対して見せたいイ
メージやアイデンティティをつくり、一度それができた後はそこから離れないということになる。何よりもゲリラマーケターは我慢
強い、とレビンソンはいう。だからこそ、
長
期問にわたるイメージづくりに投資できるのだ。
■ 一貫性を保つためには、
すべてのツールが同じような見た目、
音を
している必要がある。会社のレターヘッドと封筒に使われているレイアウトやフォントや色が、名刺、ウェブサイト、ニュースレター、パンフレット、チラシ、
イエローページの広告、ダイレクトメール用のハガキなどなど、あらゆるところで同じように使われていなければならない。自社のビジネスを特定の外観と感覚
に結びつけて、好意的なイメージが見込み客の前に現れるようにするためだ。
■ 一貫したイメージがあると、
企業に対する親近感を持ってもらうのにも役に立つ。
同じメッセージを繰り返し、見た目や色を同じにすることで、その企業に対する信用が生まれる。無責任な新興企業というイメージではなく、きちんとした会社
というイメージが生まれる。顧客や見込み客との関係を築いていくうえで、信用を確立するのが第一歩になる。最終的には、一貫性が売上げにつながっていくの
だ。
コンタクトは取りつづけろ
■ 「他の人たちは売上げを伸ば
すことをビジネスのゴールにしているが、
ゲ
リラ戦士たちは長期的関係をつくることをビジネスのゴールにしている」とレビンソンはいう。「
一度出会った顧客と何とか関係をつく
ろうと努力するのがゲリラ戦士」とはいうものの、それは全員を同じレベルのサービスでもてなすという意味ではない。
■ ゲリラ戦士たちはまず誰が
自分にとってベストの顧客か見極め、
彼らとビジネスをするためにマーケティング予算のほとんどをそこに費やす。それは、新規顧客を獲得するより既存顧客との取引が
増えたほうが、コスト的には6分の1で済むからだ。既存顧客との関係を深めるためにゲリラが使う方法の一つに、定期的なコミュニケーションがある。
■ 販売直後のフォローアップにはじま
り、もっと組織化ざれたコンタクトプログテムまで、あらゆる機会をとらえて自分たちにとって顧客がどんなに大切な存在かを知らせる。
・
自社商品を買ってくれたことへの感謝、近日開催予定のセールのお知らせ
・顧客が興味を持つかもしれない新しいモノやサービスに
ついてのお知らせ
・友人への紹介の依頼
・顧客満足の調査を通したフィードバックのお願い
・
他の人も興味を持つかもしれない情報を伝達してもらうこと。
顧客にコンタクトをとる理由はいくらでもある。
■
定期的なコンタクトを通して顧客に自社のアピールができるし、顧客を大事にしている姿勢も伝えられる。企業との取引をやめる理由のほとんどは、単純に顧客
の側の無関心なので、こうしたコミュニケーション努力を通して、他社と取引しようという顧客を思いとどまらせることができる。これが、繰り返し行動するこ
とから生まれる強さだ。
■ メモや手紙がいちばん一般的
なコミュニケーション手段だが、直接会ったり電話で話したりすることで生まれる親密な感じも忘れてはいけない。eメール、オーディオ・ニュースレター、
ファックスなども情報を提供し、コンタクトを続ける手段としては重要だ。
頻繁にコミュニケーションをすれば顧
客の生涯価値も高まる。
ほとんどの企業は一回きりの取引であげられる利益のことばかり考えるが、ゲリラは一人の顧客と一生涯にわたってできる取引のことを考える。長期的な視点で
ビジネスを見れば、一人の顧客を失うことで何万ドル、何十万ドルという売上げも失われてしまうことになる。そして、新しい顧客を見つけてくるにはたいへん
なコストがかかる。
■ ラポール(友好関係)を築き、信用を
確立するためには、モノを売ることなしに顧客とコミュニケーションをすることも大事だ。
何か売りつけてやろうと思っているのではないと示せれば、信頼が生まれる。そして、見込み客のためだけの情報を提供できれば、その信頼はさらに高まる。そ
の人が潜在的に興味を持っていそうなことに関する記事を送るのは、売り込みを一切することなく顧客との対話を続ける昔ながらのやり方だ。
だ
が、どういうカタチでコンタクトするかということは、実際にコンタクトをとりつづけているという事実の前では大きな問題ではない。
顧客との関係づくりに時間をゆっくり
かけることで、その人は長年にわたって自社の顧客でありつづけてくれるだろう。
ツールを組み合わせて使え
■ 「自分がうまくやれる範囲内
で」できるだけ多くのマーケティング・ツールを使うべきだ。
見込み客や顧客に複数のチャネルを通して到達することを目指し、自社
のプロモーション・メッセージに触れてもらう機会を増やすべきだが、同時に資金的にも人材的にも無理をして内容が薄くなってしまうほどチャネル数を増やし
てもいけない。
レビンソンのクライアントは、平均して43種類のマーケティング・ツールを使っているが、必ずしも一度にすべてを
使っているわけではない。プログラム(ゲリラマーケティング的にいうところの"攻撃")によっては18か月という長丁場になるものもある。
■
使えるツールがたくさんあると、見込み客や顧客が自社についての情報に囲まれる状況がつくれる利点がある。テレビ広告を通して自社について知ってもらうだ
けでなく、たとえば新聞や雑誌、ニュースレターに掲載した広告、インターネット広告、ダイレクトメール、イベント、屋外広告、ドアにかけるもの、ファック
スのカバーページなどいろいろなツールが考えられる。使える手段が多様であればあるほど、そこから生まれる信用と親近感は増えていく。最終的には、こうし
た要素が顧客との長期的関係には欠かせない。
■
競合他社の製品と値段が同じ場合、製品のパッケージを工夫して小さくすれば小売店の商品棚であまり場所をとらずに済み、それが競争優位につながる。利便性
というのも、なかなかあなどれない。顧客の手間を省き、時間を節約してあげられる企業が勝者になる。顧客に自社と取引したいと思わせるものは、すべてゲリ
ラ戦術である可能性を秘めている。
チャンスは逃さず関心を奪え
■ ゲリラマーケターは、ほとん
どコストをかけずに、自分の会社、モノやサービスに人びとの関心を引きつけることについてのエキスパートだ。
■
ブランドウィーク誌によれば、ある食品会社は農産物市で自社の瓶入りサルサを無料配布した。瓶のフタにはその製品を置いている地元の食料品店の電語番号が
書かれていたそうだが、こうした戦術は親近感も売上げも増やすし、小売店との関係も良好にする。このサルサの例のように小さな規模で行うお試しキャンペー
ンは、忠実な顧客を得るすばらしい方法の一つだ。とはいえ、ときにはもっと目立つことも必要だ。
■ 1997
年にマーケティング誌に掲載された記事によれば、「ゲリラマーケティングとは、すばやく動く、意表を衝く、風変わりということだ」。この記事自体はゲリラ
マーケティングを馬鹿げているとして批判する内容だったが、この意見はレビンソンのコンセプトを的確に表している。
■ 主流にあるPR会社は、ゲリ
ラマーケティングの戦術を使うのをためらっていて、昔からある生真面目なプロモーション戦略を使いつづけているが、彼らのクライアントのほうがリスクに挑
戦し始めている。特に自分たちより小さい企業が勝ち組に名乗りを上げるのを見ている。
■
最近ニューヨーク.タイムズ紙に掲載された記事を読むと、コカ・コーラとナイキは顧客に近づくためにゲリラマーケティングの戦術を使っていると報じられて
いる。路上でサンプルを配るのに、ターゲットである若者と同年代の人びとを雇うようマーケティング会社に依頼をしたそうだ。大量の広告がけたたましいノイ
ズを出しているときには、通常のマーケティング・ツールよりゲリラ戦術のほうが効果的だ、と大企業も学んでいるらしい。
活用するのは実際に効果をあげているツール
■ 「ゲリラマーケティングのプ
ロセスは、まずあらゆるマーケティングの武器が使えると気づくところから始まる。そこからたくさんの武器を使い、そのうち
どれが失敗でどれが成功か記録し、最
終的に標的からはずれたものの使用をやめ、命中したものの.使用を増やすのだ」。
■ 攻撃を開始するのはゲリラ
マーケティング・プログラムの始まりの始まりでしかない。ゲリラ戦士たちは、キャンペーンを始めただけで満足などせずその後も注意深く実行していく。
■ ゲリラはマーケティング予算
を確実に効果的に使うために、どの方法がいちばん効果的かを記録する仕組みを持っており、いちばん効果があるものを最大限活用するために最も効果がないも
のを排除する。
■
だが、それで終わりではない。常によりよい結果を求めて、ゲリラたちはプログラムの修正、改善を繰り返す。大企業のマーケターはダイレクトマーケティング
に対するレスポンス率が業界平均の2%を超え、3%あれば満足してしまうかもしれないが、ゲリラたちはそれが5%、10%、場合によっては30%になるの
を見たいと思う。自分たちが設定した目標に近づくように、現状のキャンペーンにどんどん磨きをかけていくのがゲリラである。
情報技術駆使せよ
■ デジタル時代の顧客は、一日
24時問、一年365日ビジネスをしたいと思うし、当然そういう体制が整っていることを期待する。
小規模ビジネスの経営者として
それに対応する唯一の方法は、情報技術を活用することだとレビンソンはいう。
■ 情報技術を活用して短い時間
で多くのことができるようになって生産性が上がるだけでなく、
いつでも注文がとれ24時問ビジネス
ができるようになる。電話やファックスを使えば、情報を言葉で、あるいは書かれたカタチで共有することができるし、携帯電話や
ポケベルを使えばいつでもコンタクトがとれる(もっともこの状態は必ずしもよいものではない、とはレビンソンも認めるところだ)。
■
携帯端末機で重要な打ち合わせやコンタクトを整理して記録することもできるし、コンピュータは仕事や取引の処理を行ってくれ、インターネットは中小企業が
リサーチを行う、サプライヤーを探す、顧客や見込み客にモノやサービスを売るなど、さまざまな活動が一か所で行える場を提供してくれる。
■ インターネットは今日のゲリ
ラマーケティング・キャンペーンの根幹にある、とレビンソンはいう。目ざとい企業はすでにいくつものオンラインマーケティング・ツールを積極的に使ってい
る。
・ウェブサイトをつくる
・チャットグループヘの参加
・オンラインコ
ラムやメールマガジン(e-zineとも呼ばれる)
・オンラインの案内広告、バナー広告
・オンライ
ン会議の主催
・顧客や見込み客とのコンタクトを続けるためのeメール
など、さまざまなツールがある。
■
企業の中にはインターネット・マーケティングを成功させるには、ウェブサイトをつくるだけで十分だと考えているところもある。だが、これほど真実とかけ離
れた認識はない。役に立つコンテンツがあって、それが目を楽しませてくれるデザインになっているなど、優れたウェブサイトができれば、それはオンラインで
の店先として機能する。
■ 騒客がそもそもそこに行く理由を最初
につくってあげなければならない。一度顧客がやってきたら、役に立つ一言情報や記事、楽しみも交えたコンテストや懸賞などを提供し、彼らがそこにとどまる
理由もつくってあげる。だが、ここで鍵になるのは「役に立つ情報」だとレビンソンはいう。「情報とでっちあげの間には大きな違
いがあって、読者はそれを知っている」。
■
ウェブサイトのおかげで劇的に業績が上向いた企業は、トラフィックをサイトに呼び込むために、広告をはじめプレスリリース、ニュースレター、名刺、ファッ
クス、プロモーション用のアイテムまで、あらゆるところにURLを刷るなどの努力をしている。サイトを訪れた人に対しては、今後もコンタクトができるよう
にeメールのアドレスの登録をすすめる。一般的には無料でレポートやニュースレターが手に入る、コンテストに応募できるなど、インセンティブが必要とされ
る。
■ 重要なのは、eコマース活動がサイト
に組み込まれているということだ。サイトを訪れた人が
マウスをクリックするだけで、簡単に
購入できるようにする。見込み客が購入するのが難しいようなサイト構造になっていると、サイトから利益をあげられない。
■
オンラインツールとしてはウェブサイトがいちばんよく使われるが、顧客や見込み客を自社に呼び込むツールは他にもたくさんある。たとえば、チャットグルー
プを使えば、あるモノやサービスの利点や欠点など、一つの問題に関してかなり詳細に議論できる。業界全体のことや自社が提供しているものに関連した
具体的なテーマに関するライブチャッ
トは、特に実りが多い。
■
企業のほうはある分野における自分の専門知識を示すことができたり、参加者に他の商品に関心を持ってもらったりすることができるかもしれない。そうでなく
ても、チャットを通して企業やそこで働いている人に対する親近感が生まれ、ロコミで好印象が伝えられるかもしれない。もちろん、気をつけなければ逆効果に
なることもある。ユーザーが欲しくないeメールを送ることで、スパムメールを送りつけてきたと彼らの怒りを買ってしまうこともある。
■ e
メールは、すでに顧客になる意思表示をしている人にコンタクトをするときには、力強いゲリラツールになる。言い換えれば、「もしかすると」自社が提供して
いるものに関心があるかもしれない人を顧客に変える努力をするような無駄はせず、すでに潜在的な顧客だとわかった人にフォーカスする。
■
ゲリラマーケターが絶対にしないことが一つあるとすれば、それは金と時間の無駄遣いだ。彼らにはそんなことをする余裕がないのだ。だからこそ、小規模ビジ
ネスの持てる兵器の中でも情報技術が重要な位置を占めることになる。情報技術のおかげで、自社のモノやサービスにある程度関心を持ってくれた人にコンタク
トできるのだから。
一匹狼を気取るな
■ 情報技術のもう一つのメリッ
トは、世界中にある同じような思いを持った中小企業や人を結びつける点だ。こうした提携を通して、はるか遠くにいる顧客ヘサービスを提供できることにな
り、地理的に拡大できる。こんなに迅速に、低コストで世界中のビジネス仲問にコンタクトをとり、やり取りができるとは、情報技術が普及する前には考えもつ
かないことだった。グローバルエコノミーの時代には、小規模ビジネスも世界中の企業と提携、パートナーシップを結ぶようになり、互いに資源を支えあって大
手の競合他社と肩を並べる、場合によっては大手を凌駕するようなポジションを獲得するのである。
■
ゲリラは、大手競合他社には不可能なカタチで、取引先の業者とパートナーになろうとしているし、実際そうなり得る。支払い、配送の方法、配達期日などが調
整できる柔軟性があると、サプライヤーとの関係がかなりよくなる。長期的にはこうした関係のほうが、ガチガチの融通の利かない大企業との関係よりも、自社
に利益をもたらす。
■ 数が多いことは力である。こ
れが今日ほどはっきりと現れている時代もそうないだろう。いまの
パートナーシップの時代に、たった一
人の経営者、たった一つの小規模ビジネスとして仕事をしていっても、突破口はない。サプライヤーや同僚、競合他社との協働なし
に白分だけでやろうとしても、かえって損をするばかりだ。他社とのパートナーシップを通して、小規模ビジネスは、自社が望めば小規模なままでいることもで
きるし、フォーチュン500のレベルで競争することもできる。
成長するゲリラマーケティング
■ ゲ
リラ戦術を使った中小企業の成功を見て、目ざとい大企業の中にはいったい何が起きているのか知ろうという動きが見られる。ゲリラマーケティングは、資金の
乏しい企業が競合するマーケティング・メッセージの騒音から抜け出すのを助けよう、というところから始まった。
だが、資金が豊富
な企業もゲリラ戦術を使えば自分たちも少ない金額でもっと効果をあげられることに気づきつつある。結局、ゲリラマーケティングとは、要は狙いがはっきりし
ていて、計画がよく練られているマーケティング戦術から、よりよい結果を得るということなのである。
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