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    2008年8月31日 第81号
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日経MJ 2008年8月29日(金)付け  5面 総合小売
激動ドラッグストア 規制緩和前夜

異業種参入の幕開け スーパー・HC、大衆薬狙う
競争激化に先手 合従連衡、業態を超えて
成長の好機に 深夜市場開拓に弾み

記事「激動のドラッグストア」は8月15日(金)から日経MJ紙面毎週金曜日に3回にわたって連載された。この3回分をまとめて概観してみよう。法制度の変更に伴う市場への影響や市場関係者の動きに注目しておこう。
法制度の変更による規制緩和で参入障壁は崩壊し、既得権益はなくなる。
 改正薬事法による影響関連図
規制緩和によるインパクト

 記事の概要
 異業種参入の幕開け スーパー・HC、大衆薬狙う

九 州地盤のディスカウントストアMrMax大野城店(福岡県大野城市)2008年7月11日、一般医薬品コーナーが開設された。2009年4月施行の改正薬 事法で薬剤師でなくて大衆薬を販売できる新資格「登録販売者」が導入されることで参入障壁が下がる。このため大衆薬売場の多店舗化が可能になるからだ。地 元客の来店客動機が増えることになる。

資格要件である一年間の医薬品販売の経験を積ませる。
2008年12月から全国各地で試験が始まる。

ライフコーポレーションでは2008年度中に登録販売者試験に約240人の受験を計画し、2010年度以降進展にはドラッグストアコーナーを併設していく。

ホームセンター大手のカインズは約百人に登録販売者試験を受けさせる。
コープさっぽろでは薬剤師に比べて人件費が軽い登録販売者の確保で運営コストが削減できると見て、大衆薬の低価格販売を強化していく構えだ。

 競争激化に先手 合従連衡、業態を超えて

2008年9月、中四国地区で売上高トップのドラッグストアが誕生する。愛媛県レデイ薬局がメディコ21を完全子会社化する。2007年度売上高は単純合算で530億円になる。二社は愛媛県内を二分するライバル同士だった。
二社による県内シェアは愛媛県で7割、香川県で5割まで高まる。
メディコは四国地盤の総合スーパー(GMS)・フジの子会社だ。フジは9月のレデイへの出資比率を34.8%に高めて持分比率的用法会社にする。
レデイの提携のポイントは同業のメディコと異業種として一般医薬品(大衆薬)市場に参入してくる親会社のスーパー・フジと手を組んだところだ。将来の競合リスクを回避する戦略だ。
三社の2007年度の売上高合算は約三千五百億円。食品や日用品を幅広く取り扱うGMSと手を組めば価格競争力の向上が期待できる。三社は共同仕入れやプライベートブランドの商品開発を計画中だ。
レデイは中国地方の独立系ドラッグなどと地域チェーンの連合を形成し、大手に対抗する軸をつくる構想がある。

連携の狙いは競合他社を圧倒する地域シェアの獲得だ。
この背景には競合他社の動き影響している。
あわせて2009年度改正薬事法施行によるスーパーなどによる異業態との価格競争が始まる危機感がある。

サンドラッグが1月地元大屋(愛媛県西条市)とフランチャイズ契約を締結し、最大手のマツモトキヨシも2008年から四国での攻勢を強めた始めた。

業態を超えた提携は加速している。商店街や住宅地に立地するコンビとドラッグストアは商圏が重なっている。セブン&アイ・ホールディングスと調剤薬局最大手のアインファーマシーの資本・業務提携がトピックスになっている。

 成長の好機に 深夜市場開拓に弾み

マツモトキヨシ六本木店(東京・港区)の状況。
大手ドラッグストアで始めて24時間営業を開始。開始して1年が過ぎた。
7月、23時から翌9時までの売上高は前年同月比20%増。
深夜帯の売れ筋が美容雑貨など粗利益率の高い商品。粗利益は前年同月比で30%増。

同店舗では5人の薬剤師で運営している。
店舗段階では営業黒字。
2009年4月の改正薬事法が施行される。
登録販売者を活用できるようになる。経営上一気に深夜営業店を増やせる。薬剤師に比べて一人当りの人件費が大幅に軽くなる登録者販売者を深夜帯に配置させる。ドラッグストアにとって未開拓の深夜市場を攻める。
2009年度以降深夜営業店を百店まで拡大させる計画だ。

同社は三千人の従業員に登録販売者の資格を取得させる計画だ。

各地の深夜市場攻略の取り組み
・札幌市のサッポロヅラッグストアーは市内でコンビニエンスストアとドラッグストアを融合した実験店「サツドラ」の運営に乗り出した。

・ウエルシア関東では東京、千葉、埼玉で弁当などコンビニ商材を扱う「グリーン・シア」を三店運営している。深夜営業も全店の約7割で実施している。

・調剤薬局併設の業態を展開するクリエイトエス・ディーは、登録販売者を店舗で活用して、薬剤師を調剤業務に専念させる戦略だ。2009年5月期中調剤併設店を前期比1.5倍の30店増やし、来店者の健康問題を解決できる店を目指す。
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 改正薬事法に関連する情報
改正薬事法の情報は以下のサイト参考にしてください。

・ JMR生活総合研究所 改正薬事法で変わるドラッグストアの競争軸
 今回改正薬事法のインパクトを解説し、現在起きていること、今後方向付けを分かりやすく解説している。
・ 薬事法.com では改正薬事法についての情報をまとめている。
編集者のコメント
大衆薬市場は薬事法という法制度によってしっかりと保護されている市場だ。

その法制度が変更されることになり、市場に影響が広がり始めている。

大衆薬をいつでもどこでも買えることは消費者にとってもいいことだ。特に24時間営業のコンビニで買えることになるとうれしい。風邪を引いたときにとりあえず何か飲む薬が欲しいと思ったことは筆者だけではないだろう。

友人は子供が熱を出したとき24時間営業のスーパーに薬売場があったことを覚えていて、午前零時過ぎに買いに行ったところネットが掛けられていて、今は薬 剤師がいないので販売できないと言われたと腹を立てていた。ネットに囲まれたすぐ先には熱を下げる薬や、熱さまし用のシートがあるいうのに。また、やけど を負ったとときの塗り薬をほしいといってみたところ、同じ対応だったという友人もいる。

・規制緩和で参入障壁が下がり、競争が促進され、店舗の利便性が向上する。
・規制緩和によって異業種が参入してきて、既得権益が脅かされ、収益が低下する。

先手を打たないと従来の商売がさらに存続の危機にさらされることになる。

規制緩和で参入するスーパーやホームセンターはいままでの大衆薬市場という既得権益を脅かす競争相手になる。この外敵をパートナーとして迎え入れる新たなビジネスモデルの構築が進められている。

登録販売者の資格取得には一年間の医薬販売の実務経験が課せられる。
これはコンビニやスーパーにとっての参入障壁になる。
しかし、規制緩和は流れは止まらないだろう。ドラッグストア市場への異業態参入の脅威は隣りあわせだ。資本力をもつ相手との商機を捉える成長戦略が問われる。

個 人的には「もの」を売る売場よりも、その前提といってよいかもしれないが、「薬」に関しては個人との結びつきを大事にする戦略を取って欲しいと思う。これ からの少子高齢化社会への対応を忘れないで欲しい。「街の薬屋」と「化粧品」の販売では、もっとカウンセリングのノウハウが注目されていいのでは。