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    2009年3月2日 第90号
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日経新聞 2009年2月25日(水)付け 15面【新興・中小企業】12版

「西陣」の殻破り協業 高級ちりめんヒット
ご無沙汰していました。今回は「200年企業」成長と持続の条件という連載コラムの第41回京都の老舗のお召しの「矢代仁」の記事を取り上げました。
伝統的な産業がライフスタイルの変化で危機に瀕しているとよく聞きます。そうした老舗企業がどのように蘇っていくのでしょうか?興味深いですね。
 
 記事内容を次のような図で解読してみました。






この図は編集者の独自の解釈で作成しているものです。対象となった記事とは関係ありません。


 記事を整理してみよう。

 商品は?
生地では次のように表現されています。
・お召しはちりめんの一種、表面に縮みじわがある独特の風合いの織物。
・一般的なお召しの価格は20万円から30万円だが、百万円もする商品を開発。この最高級品が好調。
・天蚕はクヌギ林で飼い、屋内で飼う家蚕と違って糸は薄緑色で光沢がある。天蚕糸を安定調達。

矢代仁のホームページは、
京・矢代仁
商品のこともこちらから確認してください。

 上図をもとに記事を適当に配置してみました。
・洋装の普及で1960年代前半かをピークに需要は急降下。
・年間生産量は日本全体で1935(昭和10)年に150万~160万反、60年代初めには数百反に達したが、現在はわずか一万反前後と、百分の一以下。

・契約する職人は現在三軒に減り、織りの技を進化させるには限界。
矢代仁が仲立ちして、ちりめん名産地の京都府京丹後市の職人と、西陣の機織り職人の協業を実現。280年間、モノづくりの場としてきた「西陣」の殻を破った。 ・上質の絹糸を使い徳川将軍家や豪商らがファン。
・明治維新で徳川家や大名が没落し打撃を受けたが、庶民のあいだで社交用や外出着としてお召しが普及。
・きめ細かさを追求した織物が生まれる一方、糸は太めだが気楽に着ることができる素材なども登場。商品の幅が広がり、大衆へと浸透していった。
・自社の歴史、沿革。
京都市の呉服商の三大老舗
・京友禅の千總(ちそう)
・帯の川島織物(現・川島織物セルコン)
・「お召し」の矢代仁(やしろに)
成長と持続
の条件

目標
は?
・丹後の機織り職人に長野県安曇野市内の九つの養蚕家、大阪の専門店などを結びつけ、天蚕糸を使った高付加価値織物を生産・販売する「農・商・工」サプライチェーンを構築。
・「技の向上に終わりはない」。伝統に縛られず事業モデルを柔軟に変え、新しい需要を創造する。
・「百万円お召し」は「丹後ちりめん」の技術と西陣の伝統の技を融合したもの。お召しの品質を左右する糸を撚る技術は、現在は丹後地域が西陣を上回るという。「一メートルの糸を三千回も撚って50センチほどに縮める技法など、西陣が失った技が受け継がれている」
・京都西陣の機織職人を11軒、系列化におき、できあがった織物は不良があってもすべて矢代仁が買い取るという契約。この仕組みは職人を失敗を恐れずにモノづくりに打ち込ませ、技術が急速に進歩。 ・「祖父・七代目以来の『慎みて祖業を墜とすことなかれ』という戒めに立ち返る」として、本業強化で攻勢をかける。

詳細は実際の記事を読んでください。
ここでは時系列を無視して配列しています。記事内容を把握するときに上図のような構造とキーワードを頭なの中においてみると「筋」よく読み取れるのではないでしょうか。

私の疑問:記事では触れていませんが、顧客関係の情報が抜けていました。

・百万円もするお召しを買うのは誰だろうか?
 今までのお客様とのコミュニケーションからお客様を発見してきたのだろうか?
・そのようなお客様をどのように見つけたのだろうか?
・どんなふうにお客様にアプローチしているのだろうか?

・富裕層のニーズに応える。

企業が「大きく」なっていくうえでは、次のことが知りたいですね。
・どんな環境変化が起きたのか?
・その中で何を目標にし、何をしたのか?
・何のためにどのように取り組んできたのか。

このヒントは次のURLで確認してみてください。
ITコーディネート協会 最新活動レポート 京都府矢代仁の経営改革
ITの導入のためのポイントが示されていますよ。
ITを導入することは手段であって、最初に

・目的・目標、
・現状把握(環境変化・将来動向・自社の強みと弱み)、
・自社のあるべき姿から導かれる重要成功要因

を理解する必要があるんですね。

京都というブランドを前面に打ち出した「京の老舗モール」というネット通販ポータルサイトがあります。そこに御召・矢代仁も出店しています。


 SWOT(強み・弱み・機会・脅威)分析


上の黄色部分は自社内部の強みと弱みです。下の部分は環境変化のところで、機会と脅威です。
目標としては、
自社の強みを生かすこと。
弱みの部分を強化して競合相手との差別化を実現することになるでしょう。

そのために
どんな顧客層
どんなニーズ
どんな独自性で、
ニーズに応えてていくかが課題になりますね。
そしてどんなふうに顧客に接近してコミュニケーションを取るか。
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  編集後記
昨年の12月に発行してから3ヶ月も間をおいてしまいました。
読者の皆さん申し訳ありません。

さて、寒い冬もあともう少しで春ですね。
梅の花が咲き誇り、その香りをふりまいています。
甘い香りにしばしうっとりしますね。


世の景気も上向きになるといいのですが。
今号にもありますが顧客のニーズをよく理解し、それにしっかり応えていくことが一つの活路であることは間違いないようです。