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    2009年5月16日 第91号
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日経新聞 2009年5月13日(水)付け 13面【新興・中小企業】12版

問屋の未来 人磨きに託す
ご無沙汰していました。間をおいて申し訳ありません。
今回は次回に引き続き、「200年企業」成長と持続の条件という連載コラムから、大阪の「小泉」の記事を取り上げました。創業はさかのぼると293年前。創業の精神とは何だろうか。現代にどのように息づいてのだろうか。
 
 ノコギリ商法は、実はコラボレーションだった。




この図は編集者の独自の解釈で作成しているものです。対象となった記事とは関係ありません。


 記事の内容と筆者のコメント

 1970年代、仮面ライダーの学習机で勉強した方も多いことだろう。
プリーツスカートのボックスやアコーディオンで着飾った女性の方も多いことだろう。

豆知識 <スカートについての知識はこちらから

この両方の商品の企画、製造の卸は小泉産業と小泉という会社だ。
両者の淵源は今から293年前にさかのぼる1716年だ。

近江の五個荘(滋賀県東大見市)で小泉武助が武士を捨て、麻布の行商を始めた年だ。
郷里の商品を諸国で売り歩き、帰るときにはその地の産物を仕入れて戻って商売をしていた。
これを行きと帰りの両方で商売することから「ノコギリ商法」を呼ぶ。

小泉グループ各社についてはこちらから。グループの沿革が詳しく掲載されている
ウィキペディアの小泉産業の情報はこちらから
聞き覚え、見覚えのあるキャラクター商品を数多く手がけている。

 小泉産業はクリーニング店用のアイロン、理髪店用のドライヤーを始めて家電として売り出した。
アパレルの小泉は折りひだのあるプリーツスカートをアレンジした商品を大ヒットさせ、1986年には婦人服製造日中合弁会社を同業に先駆けて設立した。

 両社のキーワードとして記事の中から拾うと、次の四つになります。

・進取の気性
 これは自ら進んで物事を執り行う人、という意味。
・人格の育成向上
 売場も工場もないところでは「人」の成長に焦点を当てなければならない。
・従業員教育
 「人」で勝負するからには行儀作法など躾から充分に徹底的に仕込まなければならない。
・提案する「生産問屋」
 市場の声を聞き、商品やサービスを生み出さなければならない。

 これらを端的に表しているのが社是および経営理念だ。次にそれらを挙げておく。

「社是」
人格の育成向上

「社訓」
一.誠実と努力で信用を高めよう
一.若さと根性で仕事の第一人者になろう
一.創意と協調で効率化に努めよう
一.使命を自覚し社会に貢献しよう
一.社業を高揚し健全な家庭を築こう

「創業の精神」

資金なきを憂へず
能力人容なきを悲しまず
骨惜しみなく手間をいとわず
仕事に倒れるを恐れず
只々労力の奉仕をもとでとして創業し
百年一日の如し


 昨今の経済的な凋落で自ずと「人」の重要性が叫ばれてきている。
すべてが人のなせる業であるから当然といえば当然のことだが、調子がいい時にはそれは後回しになる傾向がある。
小泉の従業員教育では、30年におよび立沢氏が携わっている。
立沢氏の役員会や朝礼の講義は二時間以上にも及び、途中で電話が鳴っても受話器を取らせず、
「今は得意先に迷惑をかけても後でよかったと感謝される」と話し続けたという。

立沢氏の発言の自信と誇りには感服する。このような迫力がいま一番欠けている。

 さらに、記事の中で立沢氏の言葉が紹介されている。
「計画とは決心だ。決心しないから販売計画が狂う。未達では下請けや部品会社の生活にも響く」

また、立沢氏に仕込まれた従業員は店主に「どんな商品が売れますか」と質問し、情報を持ち帰ったという。
こうした情報収集からアイロンやドライヤーが誕生した。ただでは帰らない伝統の「ノコギリ商法」だ。

まさにコラボレーション(協働)ではないか。
参考:未来を創出する共同の営み:コラボレーションとは何か。慶応義塾大学総合政策学部教授 深谷昌弘

 経営の真髄は現実、実際の動きの中にあると言っていいだろう。理論ではない。
自分たちには、顧客や得意先、仕入先のために何ができるのだろうか。
この問いにきちんと答(応)えていけば、自分たちの存在価値はいやが上でも増すはずだ。
応えていく作業には苦しみは伴うものだが、これこそが「仕事」といえる。
その心が上記の創業の精神に網羅されている。

「只々労力の奉仕をもとでとして創業し」とは、天晴れと膝を打ってしまう。大いに鼓舞される。

 取引先や顧客の声を聴いて吟味していないところが多いのではないだろうか。
そのための従業員教育、躾がお座なりなっているところが多いのではないだろうか。
従業員のコミュニケーション能力は著しく低下しているところが多い。
トップがたまには一緒に行ってみるといい。目を覆いたくなる光景が展開されている。
営業日報など情報の共有は、上司が押印して、単なる報告で終ってはいないか。
まったく担当者の動きに一歩も踏み込めていないのではないだろうか。
それではかわいそうだ。

 さて、日本経済新聞 2009年5月11日 13面【科学】12版 に「独創性と探究心(下)」というコラムがあった。

MITメディア研究所副所長 石井裕氏の記事で、この末尾に次のようにある。

「百メートル競争のタイムを争う程度の研究ではダメ。新たなルールの競技を創造するぐらいの覚悟が必要。
ここまでやるかと驚かれるほどの独創性を発揮することだ」

 こういった覚悟が顧客の心を動かす魅力的なビジネスモデルを創り上げていくのだ。
ビジネスモデルは関係者がそれぞれに参加でき、ハッピーになるルール作りなのだ。
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  編集後記
今回は2ヶ月も間をおいてしまいました。読者の皆さん申し訳ありません。
この間に経済的な激変もありました。
職場を去らざるを得ない境遇の方もいらっしゃることでしょう。

桜前線は4ヶ月かけて北海道の釧路や根室だと便りが届いています。
東京では一週間ほどの雨の時期がったものの総じて穏やかな春、初夏の気候だったのではないでしょうか。

公園やご近所の庭にはたくさんの花が咲き、人の世のあわただしさはなんのその、気にもかけずに自らをあるがままに表現しています。
ときには天を見上げ、青空や月をめでてみましょう。
地の草木に心を預けて、自然をを楽しみましょう。
活力が湧き上がってきます。

こんなブログもやっています。
本の世界
本を読むこと、きっと「人間」にしかできないことですね。一冊の本がときには人の運命を変えることさえあります。
一冊の本の世界には冒険やまだ見ぬ世界への誘惑・憧憬があり、私達の心をワクワクさせます。
ビジネスにもホッとする瞬間を。美味しい食事の時間も忘れずに!それと恋人との時間も!