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    2009年6月29日 第93号
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日経MJ 2009年6月3日(水)付け 5面【総合小売】

サミット無店舗型・ネットスーパー
東京・調布の既存店閉鎖 配送センターに収増益企業を探る
環境変化を受けていない事業はないだろう。環境に依存し、対応することは避けて通れない。
特に最近では不況のあおりで低価格志向、節約志向の影響を受けているスーパーマーケットは競合も激しい。業態転換へのスピードはそのまま業績に結びつく。
今回取り上げた記事は、顧客とのコミュニケーションをネットスーパーという無店舗型食材提供のビジネスモデルへ変革しようとしているサミットストアの事例です。
あなたの街のスーパーマーケットは生活者のニーズにマッチングしていますか。
 
 無店舗型スーパーマーケットの事業モデル


ネットスーパー、無店舗型へ。

この図は編集者の独自の解釈で作成しているものです。対象となった記事とは関係ありません。


  記事の概要

 2009年10月からサミットは無店舗型ネットスーパーを始める。

  6月1日付でネットスーパー事業運営子会社「サミットネットスーパー」を設立。
  8月につつじヶ丘店を閉鎖、商品の加工・配送を担うセンターに切り替える。

  大手食品スーパーで無店舗型のネットスーパーを手がけるのはサミットが始めてだ。
  親会社住友商事が設立した「住商ネットスーパー」が受発注情報システムを管理する。
  サミットは商品管理、配送を担当する。

  取扱い品目は生鮮品を含め3000品目、専用サイトに注文すると原則、即日配達する。

  現在は杉並区・世田谷区・調布市など4店舗から配送している。
  今後は新センターが一括管理し同地域をカバーする。

 従来の店舗型ネットスーパーと比べて

  無店舗型ネットスーパーは生鮮品など在庫管理が難しいという問題がある。

  注文のなかった商品は毎日、近隣の店舗に配送して売り切る考えだ。
  センターと近隣店舗で連動する仕組みを作り、
  需要予測の実験を繰り返すことで廃棄ロスの縮小を目指す。

 田尻社長は次のように語っている。

  従来型では商品の箱詰めや配送コストで結局事業全体で見たら赤字になる。
  既存のスーパーの事業モデルはお客さんが来店して買物していくためにできている。

  一箇所で注文を受ければ業務を効率化でき、
  大量注文に応じやすく、コストも削減しやすい。
  今後、採算を取って事業を拡大していくならば、
  センターが他のネットスーパーだと考えている。

  軌道に乗るまで半年ぐらいはかかるだろう。
  注文一日400件くらいは欲しい。
  そうなれば、一日240万円程度の売上が立ち、採算が取れる。

  会員は現在の一万人を十万人まで引き上げたい。
  認知度や利便性を上げるために、電話やFAXでの注文受付も検討している。


 センターでは一日400件程度の注文をこなせ、
  業務の効率化でコスト削減も見込める、としている。
  軌道に乗れば1センター年間8億円程度の売上が見込めるという。
  事業が拡大すれば他に1、2店舗のネットスーパー用センターへの変更を検討する。


 コメント

 消費者を取り巻く環境の変化

 ・インターネットの普及、活用が本格化。
 ・パソコンから携帯へ。ネットアクセス端末の普及と変化。
 ・価格比較がしやすくなってきた。
 ・ネットで実際の買物と同等の利便性が提供できるようになってきた。
 ・金融危機から発した不況で低価格志向が進展している。低価格、節約モード。

 競合他社の動きは?

  スーパーマーケット:PB導入拡大と低価格志向で顧客を取り組む。
  コンビニエンスストア:生鮮品などの強化で客層拡大を狙う。

 ターゲットはそんなにネットには強くない方がまだ多い。
  ニーズに必要な使いやすい、簡単なインターフェースを整えなくてはならない。
  難しさや面倒くささを感じたらネットでの注文はやめてしまうだろう。
  注文の途中でやめてしまった経験をお持ちの方も多い。

 顧客作りと事業拡大にネットを効果的に使う。

  競合相手との差別を狙う。
  既存資産の有効活用を狙う。
  既存事業との相乗効果を狙う。

  こうした狙いはあるだろうが
  どこまで「顧客」に向き合うかが大事ではないだろうか。
  向き合う中で顧客のための戦略が明確になり
  顧客のために「店舗」が出来上がっていくように思う。

  顧客を深く理解することから手段や道具は有効な機能を発揮するはずだ。
  ネット技術を取り込むことなどは顧客とのコミュニケーションの仕組みの一つだ。

  もう一つは
  店舗という概念を捨てることではないだろうか。
  顧客に食材を提供するという基本コンセプトを忘れないように。

 関連情報
海外 EC 事情~イギリス・アメリカの成功例に続けるか!? 日本のネットスーパー
 
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  編集後記
 高齢化、少子化と言われている。
 商店街が寂れている。いわゆるシャッター街になっている。
 商店街にあったミニスーパーが沈没寸前。
 コンビニエンスストアじゃ生鮮まできちんとそろっていない。値段も高い。

 高齢者は遠くまで買物に行けない。
 パソコンや携帯は上手に使えない。

 地域密着型で御用聞き営業ができないものだろうか。

 買物・食事・洗濯・掃除など組み合わせるとこれはチャンスではないか。
 高齢者はやがてそれなりに介護が必要になってくる。
 介護業界との連携も考えられる。

  緑のトンネル

 既存スーパーが本当の地域の「ステーション」になるという方向も考えられる。
 つまらなくなってきた近所の「街の再生、活性化」こそこれからの社会・地域で大切だと思う。
 楽しい「街」にぎやかな「街」こそ生活の充実につながる。

 さて、ネットスーパーだが
 わたしは生協やオイシックスがはじめている宅配システムに注目している。

 次のようなデメリットを解決しているからです。
 このデメリットは各ネットスーパーでは多少違う。

 ・配送可能地域が限られている
 ・配送料金がかかる
 ・ホテルやウィークリーマンションなどへの配送は不可
 ・手渡しなので、配達時間には待機していなくてはならない