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    2009年7月6日 第94号
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日経新聞 2009年6月30日(火)付け 16面【投資・財務1】12版

消費者の安値至高追い風
価格比較サイト カカクコム
点検 この中小企業<専門分野を拓く>というコラムが始まった。第1回は価格比較サイトの「カカクコム」だ。時代を反映して消費者の安値、節約志向が追い風になって業績は右肩上がりだ。シンプルで明快なビジネスモデルだ。記事のキーワードからその事業を読み解いてみよう。
 
 価格比較サイト カカクコムのビジネスモデル


カカクコムモデル

この図は編集者の独自の解釈で作成しているものです。対象となった記事とは関係ありません。


  記事の概要と編集者のコメント

 事業規模を見てみよう。

 掲載事業者 : 5万店弱。
 登録商品数 : 4万点に及ぶ。
 09年3月期の集客サポート業務売上高 : 前期比の2.1倍。26億円。
 09年5月の閲覧者数 : 7億千万。前年同月比45%増。
 売上総利益率 : 82%に達する。

 現在までの事業の広がり

  ・1997年情報機器の価格情報サイト開設。
  ・デジタル家電から自動車、ワインへとあらゆる分野に対象を広げた。
  ・09年4月飲食店に関するクチコミサイト「食べログ」有料サービス開始。
  ・09年5月カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と協業検討開始。
  ・重要コンテンツとしてクチコミ情報を評価
   使いやすさやデザイン、機能など消費者の評価を募集、掲載。

 キーワードとキーセンテンス

 「価格を通じて消費者とつながる」

 「先駆けて事業を始めたことで利用者を集め、
  強い集客力が登録店舗の拡大につながる」

 コメント

 「価格情報」というキーワードで卓越したビジネスモデルを創り上げている。

  パソコン一つ取り上げてもさまざまな機種が溢れている。
  決して安くはない。しかも長期間使用するため購入には慎重になる。
  選択する上でのポイントは

  ・メーカーなどのブランド
  ・スペック、機能比較
  ・クチコミ情報
  ・デザイン比較
  ・価格

  など挙げられ、クチコミ情報は消費者の購入マインドに大きな影響を与える。
  しかし最終的には価格が最も購入を左右する「情報」になるだろう。

  このように顧客が敏感に反応するキーワードで惹きつけることができるのは
  インターネットビジネスの特徴の一つといえる。
  ネットでは膨大な情報の掲載を可能として、
  商品提供者と消費者を互いに必要とする情報で結び付けることが可能となる。

  さて、考えてみるとどんなビジネスにも
  このようなキーワードあるいはキーセンテンスがあるに違いない。
  それが顧客に魅力のあるメッセージを伝えるのだろう。
  「価格比較」のことならまずは「価格.コム」で調べよう、これが定着している。

水玉が光るハイビスカス
ちょっと一息。

梅雨の湿気はカビが生えてきたりで滅入りますね。


これはハイビスカスです。
夏になってくると咲き誇りますね。

ハイビスカスはやっぱり真っ赤がいいですね。
雨を受けてもしっかり花びらを上に向けて、
水玉をはじき返していました。
この真紅の大きな厚い花びらと花芯に力強さを感じます。

近所のホームセンターの園芸コーナーで鉢植えになっていました。
園芸コーナー広くさまざまな花や木々があって
ちょっとした植物園のようです。楽しめます。
ついでに小さな花をつけるというサボテンを買いました。

 仮説として競争力を発揮している能力はなんだろうか、二つ挙げてみよう。

 ・核となるコアコンピタンス
  どこにも負けないと自信の持てる独自の技術(テクノロジー、ノウハウ、マインドなど)。
 
 ・ビジネスモデル革新能力
  日々改善し行く問題意識と変化対応への行動力など。

 こうした要素が事業推進のエンジン、原則ではないだろうか。
 今回の事例では、価格比較というキーワードで先駆的にはじめた情熱、マインドであろう。
 合わせて消費者に検索・閲覧しやいサイト構築と表現力の追求だ。
 登録事業者にとっては価格情報がすぐに反映されるWebシステムは売上に直結するだけに欠かせない。

 比較されたくない事業者間の「壁」を消費者を味方につけて破った。
 こうなってくると事業者は価格以外でも消費者を惹きつける「武器」を持たなくてはならない。
 価格を通じた競争が今度は差別化、その事業者ならではの特徴(セールスポイント)をだして
 消費者との継続的つながりを持たなくては支持されなくなる。
 そういう意味では、
 カカクコムは事業者としてのイノベーションの格好の場であり、入り口でもある。

 ビジネスモデルの特徴を考えてみよう。

 安定した相当期間くずれることのない収益構造はどうだろうか。

 どのような数値が収益のエンジンになるのだろうか。

 記事からうかがえるのは次の三点だろう。

 ・登録事業者数
  (→登録料収益につながる)
 ・ブランド力、惹きつける力による閲覧者数
  (→登録事業者店舗への誘導につながる)
 ・集客サポート料による収益
  (→登録事業者の店舗サイトへ閲覧者が誘導されることによって生じる収益)

 このビジネスモデルを維持し続けているポイントはなんだろうか。

 ・サイト構築とその技術力
 ・コンピューターシステム(ソフトウェア)開発力とその技術力
 ・サイトでの表現能力(サイトの仕様も含む)
 ・ブランディング能力
 ・マーケティング能力

 最初の二つは外部へ出せる(アウトソーシング)。
 後の三つは的確な人材を得る以外にない。
 人材の資質には事業理念を実現しようという情熱は必須だ。
 それが人を動かす。 
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  編集後記
 
  カカクコムの競合相手は誰だろう。

 「比較」というキーワードではあらゆる商品の価格比較ができるサイトがあちこちにある。
 覗いて見るとそれぞれのサイトがほんとうに信頼できるのか、疑問が沸いてくる。

 競合という意味では楽天などのモールが行う比較情報サイトは競合相手として認識されるだろう。

 それ以外はよっぽど専門的な商品カテゴリでのエッジの効いた情報提供でない限り
 消費者の支持を得るのは難しい。
 消費者は提供される情報の信頼性と専門性をまずは優先するはずだからだ。

 カカクコムはひと月に閲覧者数が7億を越える。
 いまのところカカクコムが圧倒的なブランド力を持っているゆえだろう。

 つまり、カテゴリーを絞った専門性の高い情報提供を行うことができなければカカクコムには勝てない。