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    2010年1月16日 第98号
 HTMLメールマガジン日経記事に学ぶビジネスモデルでビジネス感覚に磨きをかけよう。
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ライフワークとフィナーレの思想
年末を過ぎ、新年を迎えて、二週間ほど経ちました。
1年以上も続いている「不況」の波が彼処に影を落としています。
今年こそはと決意を新たにしていることでしょう。
今回は最近読んだ本の感想からお送りいたします。
今年もよろしくお願いいたします。



昨年下旬、故郷で過ごしました。
雪に恵まれ(いままで帰省の折には雪がなかった)
豪雪地域の方には申し訳ないのですが、ホッとしました。
線路という軌道は大切なのですが、
じっくりと自らのオリジナルの軌跡を描き出したいものです。
  記事の概要と編集者のコメント
 ライフワークの思想 (ちくま文庫)  外山滋比古著。

この本の構成は四章からなり15編のエッセイが収録されています。
長い引用になりますが冒頭のエッセイ「ライフワークの花」の最初の部分を紹介します。

 ===ここから

日本人はこれまで、ヨーロッパに咲いた文明の"花"を切り取ってきて、身辺に飾ることを勉強だと思い、これを模倣することをもって社会の進歩と考えてきた。大学教育なども切花専門の花屋で、ギリシャ以来の名花をそろえ、これを知らなければ恥だと、学生に押しつけてきた。

これでは、いかにして花を咲かすかを考える暇は、もちろんない。しかし、花屋へ通ったおかげで、花が美しいということは知っている。そういう教育が普及した結果、サラリーマンにも切り花を買った人が増加したが、反面、花は適当に切り取られているもの、根がないものという錯覚を生んでしまった。

むしろ、花屋を知らなかった昔の人のほうが球根を買い、育てることができた。いまは切り花の知識で人生を始める。そのために、根がなければ花は咲かないという認識に欠けている。

ここまで===

 身に覚えありです。
日本の知識や歴史というものを真剣に学んできたことはなかった。
そういう環境も乏しかったような気がします。
手元にあるビジネスに関する考え方のほとんどは欧米の知識ですね。
しかもノウハウ的なものがほとんど。

 かつて仕事でエジプトに滞在したことがあったが、日本の伝統や歴史について誇らしく語れる知識は底が浅かった。
帰国してからはなるべく日本そのものに触れるように心がけたのですが、仕事に追われだすと「切り花」を求めだす。

 限りある時間を大切にしっかりと自分を育てたいものです。
著者はこの時間の使い方について「実りある空白」「充実した無為」と表現しています。
過去にどれだけ自分だけの時間を作ってきたのか。この程度によって球根が根を張り花を咲かすかが決まるようです。

 ライフワークは決して大げさなものではなく、
誰の人生にもやがて訪れるフィナーレ(終局)がその人らしくあるためのもののようです。

「フィナーレの思想」というエッセイの最後にこんな一節があります。

ライフワークとは、それまでバラバラになっていた断片につながりを与えて、ある有機的統一にもたらしてゆくひとつの奇跡、個人の奇跡を行うことにほかならない。

 苦渋と忍ぶことの絶えない人の世。
しかし出会いがあり、その縁で、幾重にも広がる世界もあります。
有機的とはきっと人それぞれにひたひたと寄せてくる時の漣のようなものでしょうか。
差こそあれ誰にでも時の恵として花は咲く。
時の波動を楽しみつつ、奇跡を手繰り寄せてみたい。
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  編集後記
 今回の内容はわたしが運営している「本の世界」というブログに記した文章です。

 著者の外山氏は「思考の整理学」などで有名な方ですね。

 ビジネスモデルは一朝一夕に確立しないものです。
独自のモデルはビジネスを始めてすぐに効果を発揮する例も少ないかもしれない。
しかしその魅力は顧客を捉えて余りあるものです。
そこで働く人々にとっては市場、顧客を創造しているという喜びがあります。
その波動は顧客に共感を呼び、新たな顧客を生むことでしょう。

 しっかりと時間をかけて、寝かせて、育てるのもビジネスモデルには必要ですね。
熱意によってじっくりとかけられた時間でモデルは熟成するように思います。
人も。