日経記事に学ぶビジネスモデル 2001/04/13 NO.16
ネット事業吸収を発表
日本経済新聞 2001年4月12日 企業総合【11面14版】
発行者のホームページ
今回は
『オンライン書籍販売サービス』モデル。
主要な業務の書籍販売を促進するためにさまざまな付帯サービスがある。
今回は記事にあるように、アマゾンの成長戦略に着眼してみた。
◆記事の内容
・米インターネット小売最大手で書籍販売が主力のアマゾン・ドット・コム
が11日、米書店二位のボーダーズ・グループのネット販売事業運営を前面受
託することで合意したと発表。
・ボーダーズは8月をめどにネット販売にかかわる在庫管理や出荷、カスタマ
ーサービスなどの業務をアマゾンに移管する。
・両者は顧客データベースの統合なども視野に入れており、事実上、アマゾ
ンがボーダーズのネット事業を吸収する格好だ。
・ボーダーズが運営委託する販売サイトは、アマゾンのサイトとは別に運営
される。
■コメント
・米書店の一位はどこか?ボーダーズとの比較をしてみよう。
1位 Barnes&Noble 551店の実店舗
2位 Borders 335店の実店舗
Barnnes&Nobleは、オンラインショップと実店舗と連携した店頭での受け取
り/返品サービスを2000年11月から実施、利用客を伸ばしている。
Bordersは、海外に14店舗あり、従業員は3万人。アマゾン社と米国外の海外
市場でも連携する計画だ。
・オフラインの小売点との連携を強化
アマゾン社がオフラインの小売点と連携するのは2社目になる。
2000年8月に、玩具販売大手の米トイザラス提携して、共同ブランドのオンラ
イン・ショップを立ち上げた。
最近、米小売最大手ウォルマートとの提携もささやかれている。
・強みを活かした戦略
自社の強み、他者の真似のできない能力・技術を生かした戦略といえる。
このような能力・技術などは、コア・コンピタンスといわれている。
極端に言うとこれ以外のものは、すべてアウトソーシングして、身軽・
本業集中・専門特化しようということ。
自社事業に必要なものをすべて完璧に所有することは不可能だ。
アマゾンはシアトルなどに配送センターを持つが、稼働率が問題になり
収益を圧迫している。
アトランタ郊外の配送センターとシアトルの顧客サービスセンターの閉鎖
や、従業員1300人の削減などリストラ策が発表されている。
経済性改善のために、アマゾンは既に、米国において特定製品については
コールセンター業務や受注遂行業務の一部をアウトソーシングしている。
・ドット・コム企業の相対的な強みとは
アマゾンは、「ワン-クリック」技術でビジネスモデル特許を持っている。
在庫情報、サイトコンテンツ、顧客満足度の調査、顧客サービスなどオンラ
インショップに必要なサービスプログラムといえる。
しかし、このような強みもいつか陳腐化してしまうことを免れない。
・新たな市場へ
アドビ社との提携は、電子書籍販売。
アドビ社は電子書籍読み取りソフトとして、
アクロバット・eBook Readerを無償配布する。米調査期間IDCによると、
書籍はデジタル化が進む最大の分野で、2002年普及時期を迎えると見込ま
れている。
■戦略の概観
アンゾフの成長マトリックスでアマゾンの成長戦略を概観してみよう。
・市場浸透:ボーダーズ社との提携は、既存市場へ既存ノウハウ適用といえ
る。
・市場開拓:新たな顧客獲得のためのウォルマートの関係。アドビ社との
連携は、電子書籍販売という新分野での顧客獲得。
実店舗との連携は、昨今のクリック&モルタル戦略といえる。
トイザラス社との提携は、自社の中核能力を異業種に適用することで収益
に対する効果がある。
■アマゾンのサイト(日本)
http://www.amazon.co.jp/
■
『オンライン書籍販売サービス』モデルについての情報
●書籍販売促進の様々な基本的な付帯サービス
・数百万タイトルからの検索サービス
・曖昧な語句から検索できるエキスパートシステム
・情報提供サービス
・書籍価格、著書、出版社だけではなく、読んだ人の書評
・ベストセラーのランキング
・広告、宣伝
・一般的なポータルサイトやアクセスの多い人気サイトとの相互リ
ンク
・一回クリックするだけで顧客を自サイトへ導く
・自分の好みのジャンルなど事前のユーザー登録
・ユーザー好みのジャンルに関する情報を電子メールで送る
●最近の関連情報
・Amazon,業務の外部委託拡大の可能性
http://www.zdnet.co.jp/news/0104/12/b_0411_14.html
?0c04010e11
実店舗チェーンを持つ大手書店のBorders Groupとの提携を発表した
Amazon.comだが,同社は今後さらに,社内業務のアウトソーシングを拡大
していく可能性がある。
・米Amazon.comが書店大手と提携、実店舗網との連携図る
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/
biztech/inet/128009
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/USNEWS/20010412/3/
http://japan.cnet.com/News/2001/Item/010412-4.html?mn
米Amazon.comと書籍販売大手の米Borders Groupが米国時間4月11日に、
Borders社のオンライン書店「Borders.com」に、Amazon.com社のオンライ
ン販売サービスのインフラを提供することで両社が提携関係に入ったことを
明らかにした。
・米アドビとアマゾンが電子書籍販売で提携
http://www.sankei.co.jp/cgi-bin/toshin.cgi?HTML=
0104/11newsm_29
【シリコンバレー10日=谷口正晃】出版用ソフトウエア大手のアドビ・
システムズ(本社・米カリフォルニア州)とネット小売り最大手の米アマゾン
・ドット・コム(同・米ワシントン州)は十日、電子書籍の販売で提携した。
米国を皮切りに年内にも日欧で電子書籍事業を展開する。
・Adobe、電子書籍分野に本格参入
http://japan.internet.com/ecnews/20010411/11.html
Adobe によると、Amazon.com の電子書籍ストアは Adobe の PDF 形式電
子書籍を約2000タイトルを揃えて販売するという。来年には、日本のサイト
でも販売を開始。
・電子書籍の時代が来る! アマゾンとアドビがeBooksで提携
http://www.upsidejapan.com/upside/
bizmodel/article/2001/04/12/625151-000.html
http://www.zdnet.co.jp/news/0104/11/b_0410_07.html?
0b04010711
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/USNEWS/20010411/12/
・米アマゾンの決算速報,2億5500万ドルの赤字だがアナリスト予想は上回る
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/USNEWS
/20010410/3/
米Amazon.comが米国時間4月9日に,2001年第1四半期決算の速報を発表した。
売上高は前年同期比21%増の6億9500万ドルとなる見込み。
前年同期は5億7400万ドルだった。エレクトロニクス部門と海外市場が好調だ
った。
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