日経記事に学ぶビジネスモデル   2001/05/26 NO.22
日航が特許取得
航空券のネット販売 他社も実用化済み 反発は必至

日本経済新聞 5月15日 総合 【1面14版】
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航空券のネット販売

◆記事内容の要約

日本航空はインターネットを使った航空券の予約・発券に関連するビジ ネスモデル特許を取得した。
同社は他社のネット予約・発券サービスが「特許に触れる可能性が高い」と しており、近く全日空、日本エアシステムに協議を申し入れる考え。
 ●特許の概要 旅客がパソコンで予約時にIDを受取、それをもとに空港で発券を受ける システムが対象。
法人向けの予約・発券に関する「ID情報利用の等条件発行システム」。
海外航空会社との違い予約と決済の時間差があるシステムで、日本だけ で申請。

 ●業界状況
ネットとIDを利用した航空券販売サービスは航空各社が相次ぎ導入。
日航の場合、2000年販売座席数の約10%に当たる2百万席前後を販売する など、需要が急速に拡大。

 ●同社の対応と波紋
日航は月内にも全日空、日本エアと協議し、ライセンス料の支払いか、 サービス停止を求める。
法人需要は全体の約半分を占めるだけに、他社の反発は必至。
全日空、日本エアともネット販売に関する別の特許を出願中。
全日空は「当社システムの特許と違う部分があり、抵触しないと考えてい る。逆に日航のサービスは当社が出願中の特許に触れる可能性がある」 (法務部)としている。

■コメント

 ビジネスモデルの中に事業推進を可能にしている『技術』があるはず だ。それは何か見つけよう。
前回は、ワンストップ・ショッピングの具体化例を見たわけだが、顧客 ニーズによってはこの分解が必要になってくる。

 競争優位性や差別化を実現し、新規性を持たなければ特許はおぼつか ない。この事例では、決済における時間差を利用している。

 ここで代表的なビジネスモデル特許あげると、
 ・ワンクリック:一度の個人情報入力で、二回目以降はボタンを一回 クリックするだけで注文できる。注文時の利便性を実現。
 ・ハブアンドスポーク型金融サービス:投資信託資産を効率運用する 仕組み。

 この二件に、日本の経済産業省・特許庁が日本での特許権を認めない という仮決定を出した。二件とも画期的なアイデアが盛り込まれていな いとの判断だ。

 ●パテント・ポートフォリオ戦略  効果的に競合相手を縛る網目
(ヘンリー・幸田著 ビジネスモデル特許から引用)

・同一分野の発明に関し、複数の特許を意識的に所得することにより、 特許権を強化し、競争力を高める戦略。
・優れた発明であっても、一件だけの特許では、その特許が無効になれ ば価値は無効になる。このため単独の特許権は、他社の攻撃を受けやす い。重点技術に焦点を絞り、網目のごとく複数の特許を取得する。

この戦略の構成

1.技術開発に際し、
  ・市場動向に沿った長期事業計画を慎重に立案する
  ・将来のマーケット・ニーズの正確な予測が重要テーマになる

2.長期計画に沿って、
  ・研究開発を重点技術に絞り込む
  ・市場における将来性を有する技術に限定する

3.重点技術に関しては、意識的に多数の特許を取得する

4.取得特許に関し、パテント・マップを作成し、他者の活動を監視す る。警告・差し止め・ライセンス交渉など最適対応を計画的に立案する。

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