日経記事に学ぶビジネスモデル 2001/06/08 NO.23
ネット通信インフラ網 米アマゾン他社に提供
手数料で経営効率化 小口配送生き残りのカギに
物販・サービス 事業の両輪に
日本経済新聞 5月28日 デジタル経済2 【17面11版】
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◆記事内容の要約、ピックアップ
【記事リード】
世界最大の消費者向けインターネット小売会社である米アマゾン・ドッ
ト・コムが、電子商取引企業からウェブサイトの運営・管理、商品仕分け
・発送、顧客対応を受託するサービス企業に変身し始めた。巨大な固定費
を投じて築いた自社のインフラ網を、ネット販売に参入した伝統的小売業
に提供して、手数料を徴収、稼働率を高めて経営効率も改善する狙いだ。
玩具専門最大手トイザラス
とネット販売共同事業
乳幼児用品販売 『べビザラス』
子供服販売 『キッザラス』
商品仕入れや在庫管理はトイザラスが担当、両社でコスト削減とリスク
軽減を勧める戦略。
アマゾンの利点は、不良在庫を抱えて評価損を計上するリスクをなくせ
ること。物流施設やサイト運営など既存の施設や経営資源の稼働率も向上
する。
医薬品販売ドラッグ・ドット・コム
など共同販促を展開する企業から得た収入を加えたサービス部門は、
今年1〜3月期黒字に転換。
同部門の売上高営業利益率は9.9%と主力
のBMV(書籍、音楽、映像ソフト販売)部門の6.7%を上回った。売上高粗
利益率は66.9%主力事業の2倍以上。規模拡大に伴い巨大な収益源に成長す
る可能性も秘めている。
潜在利益を具体化するため、4月にライバル企業でもある米書店2位のボ
ーダーズ・グループとも提携、在庫管理も含めネット販売事業を全面受託、
両社の名前を冠した販売サイト立ち上げもはじまる。
家電量販店最大手ベスト・バイ
との提携の指摘もある。
小口配送 生き残りのカギに
実際の配送は、上図のようになっている。
トイザラスなどの大手小売業は物流施設から店舗への大口配送はノウハ
ウを持つが、家庭への小口配送や仕分け・発送業務は弱く、アマゾンに手
数料収入をもたらすきっかけを作った。
米調査会社ジュピター・リサーチ:
1999年1日当たり約350万個だった米国内の宅配件数は、電子商取引の普及
で2005年には600万個に増える見通し。「小口配送にかかわる業務を効率
的にこなせるかどうかが生き残りのカギ」(ジュピター)
「ソフト開発費のうち7割を販売サイトの運営以外の後方システムに投資
している」(ジェフ・ベゾス会長)。その分、「固定費が高く黒字転換に
は時間がかかる」(米アナリスト)だけに、他社からの業務受託はコスト
構造条、やむなく進めた面も否定できない。
ノウハウを持つ仕分け・発送業務も、日本では日通に委託、米国内でも携
帯電話販売は専門業者に任せている。取扱分野や規模に・地域に応じて「最
適な組み合わせを探り、事業効率の改善と収益の極大化を図る」(副社長)
■コメント
固定費が重くのしかかるコスト構造の転換は容易ではない。
いつのまにか他社を凌駕する「ネット通販インフラ」の構築を成し遂げ、
業界における存在感も大きい。
その経営資源が「強み」と「弱み」になってしまった。
経営効率を向上させるためには、事業再構築という戦略視点が浮かび上が る。その手段として、リスクの大きいM&Aもあるが、機能的に補完し合う緩
やかな提携(アライアンス)を実現している。
自社の経営資源を有効活用するテキストだ。
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