日経記事に学ぶビジネスモデル 2001/10/14 NO.29
印刷用紙、代理店介さず販売
フォレストネット 需要家の声つかみやすく
日本経済新聞 9月24日 【デジタル経済1・14面・11版】
発行者のホームページ
◆記事内容の要約
丸紅、日本製紙、大昭和製紙、北越製紙の4社は8月、印刷用紙の販売サイト
「フォレストネット」を本格的に立
ち上げた。
●背 景
国内の紙は、以下の図のように渡るのが一般的。
同サイトでは製紙会社が売り手、「卸商」と呼ばれる2次卸が買い手となる。
紙流通は歴史が古く、固定化されている部分が多いだけに同サイトは紙流通
の新しい流れを生み出す可能性を秘めている。
強固な代理店制のもとでは、卸商は事実上、直接メーカーから紙を買えない。
一方で、代理店が卸商を介さずに需要家に直接納入するケースは増えている。
●仕組み
・会員制のeコマース(電子商取引)サイト。
・1対1での「バイヤー引合型」、1対特定グループでの「サプライヤーオファ
ー型」、1対不特定グループでの「カタログ販売型」などが、主な取引形態と
なる。
・単なる場の提供ではなく、製紙会社が出資者・供給者として直接参画してい
ることが最大の特徴。メーカー担当者が直接価格を提示する。
・海外紙市況、パルプ市況などの情報を盛り込んでいる。
●状 況
・現在、会員は40社。累計取引は500トン、6000万円に上り、初年度30億円の
売上を、見込んでいる。
●期待とねらい
・4社は、情報技術を利用して流通を活性化させることで、業界全体の基盤底
上げを狙っている。
・フォレストネット(東京・港区)森川誠社長は、メーカー側が川下に近い卸
商と取引することで「こんな紙が人気だ」といったユーザーの生の声を素早く
把握し、研究開発や生産に反映させることができる、とみている。また卸商に
とってもメーカーと直接取引きすることで価格交渉権を持ち、パイプをより多
く、太くすることが可能になる。
■コメント
代理店を通さず、飛ばして取引を行う事例だ。ここでは産業財ということで、
エンドユーザーとは直接結びついていない。卸商の機能を活かしている。
長年の取引慣行を打ち破る試みだ。業界の代理店の反応はどうだろうか?
ユーザーにとっては、価格面と安定供給、商品情報、素早い対応などが
取引の決め手になる思われる。
競争原理としては、サイト会員会社数と取引量が、代理店のそれとどのよう
に推移するかで、取引力学とその構造に影響するだろう。初年度売上高の30億
円とは、その意味でこのバランスを左右する分岐点になるのだろうか。
需要家の規模や2次卸の規模によって、独自の市場として、市場の棲み分けが
実現する可能性もあり、新たな需要の喚起につながるかもしれない。
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