日経記事に学ぶビジネスモデル   2001/11/15 NO.32  
携帯使い電子チケット カードを券代わりに

日本経済新聞 11月13日 【企業1・12面・13版】  
発行者のホームページ
 
カードが券代わり

◆記事内容の要約

【リード】
 日本信販は東芝、セイコーインスツルメンツ(SII)と共同で、携帯電話を使 った電子チケツト・クーポン券システムを開発した。携帯電語の簡単な操作で クレジットカードがチケットやクーポン券の代わりになり、決済までできる。 来年三月から加盟店を開拓、三年後に五千店を目指す。

【仕組み】
 加盟店はインターネットのサイトでコンサートやスポーツ観戦の入場券販 売、飲食などの割引(クーポン)情報を流す。

 利用者はあらかじめ支払いに使うカードを登録。
 ID番号と暗証番号を携帯電話で入力しチケットやクーポン券を申し込む。
 申し込み情報は十五分でカード決済システムに反映される。

 チケットの場合は申込時に支払いが完了。  利用者はイベント会場でカードを読み取り装置に通すだけで済む。

 新システムは情報発信と申し込みがほぼ同時にできる。
 例えばサッカー観戦の人場券を試合開始後に半額にして会場周辺の人を集 客したり、店内がすいている時問帯に限って食事代を割り引くことなども可 能。

【その他の特徴】
 クーポン券の場合は自動的に割引率が適用された代金を店頭でカード払い する。

 従来のネツトでのチケット販売は券自体を郵送するため、イベントの一〜 二週問前に販売を打ち切らざるを得なかった。ネットクーポンも利用者が紙 に印刷する手間がかかったり不正使用の問題があったという。

【運営について】
 個人の登録料は不要。

 加盟店が負担するシステム構築費や利用手数料は今後詰める。
 日本信販以外のカードも使える。

 日本信販が中心となりシステムを考案、東芝とSIIは情報を管理するサー バーの開発・運営などを受け持つ。
 三社はBS(放送衛星)デジタル放送で同様のサービスを展開中で、携帯電 話も活用して利用者を拡大する。

 

■コメント

 携帯電話でアクセスを容易にし、クレジットカード等を「券」の代わりにする ユニークなサービスだ。
 e−ビジネスの代表的なポイントは、以下のように言われている。ただし、以 下の実現には運営費用や設備投資もかかることを忘れてはならない。

 ・コスト低減のメリット
  ネットの商品販売、サービス提供は、人件費・オフィス費用・交通費などの経 費がかかる従来型よりもコストが低くなる。

 ・時間サービスのメリット
  ネットにより、情報受発信のスピードが向上。リアルタイムが可能となり、 好きなときにアクセス可能。最小のコストで24時間サービスが可能になる。ユー ザー側ではサービスゲット時間の短縮につながる。

 ・顧客サービスのメリット
  ネット上での顧客ニーズの収集の仕組みを構築し、それを汲み取ることで One to One マーケティングの実現が可能となる。

 今回の場合は、サービス提供側と利用者側双方とも、「コスト」と「時間」 のメリットを享受できる。チケット販売サービスを「生鮮食品」に転換してい る。
また、短時間のカード決済システムは加盟店からも支持が得られるだろ う。しかし、やがて「電子ワレット」の登場で、この「カード」という概念も なくなるかもしれない。

■Biz.Model 構築ノウハウTips

 商品・サービスを提供するバリューチェーンの中で、短縮できる手はないか。 自社の提供プロセスから、まずダブりを減らし、モレをなくす。
 プロセスの代替やスキップを情報技術を利用したり、他社との連携で短縮な いし効率化できないかを検討してみては。
 特に重要なプロセスは、
 ・ユーザーに商品・サービスがどのように届けられるか
 ・決済のスピードと信頼性は確保されているか
 ・次の需要を生む顧客サービスはどのように行われているか
 
意見・感想・質問・相談等
購読登録・解除

発行 ソリューションパートナー  発行責任者 内山秀雄

Copyright by Solution Partner 2001