日経記事に学ぶビジネスモデル    2003/05/31 NO.48
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■外食チェーンミニ店舗拡大
すかいらーく:席数3分の1に  リンガーハット:カウンター主体
日本経済新聞  2003年5月29日(木)

概要図(店舗モデル革新の概要図は下段にあります)
記事の概要図
  ◆  記事リード
 外食チェーン各社が従来より小型で、運営コストを抑えた新型店を拡大している。 すかいらーくは席数を約3分の1にした「Sガスト」を展開、長崎ちゃんぽんのリンガーハットはカウンタ ー主体の店舗を増やす。デフレで客単価が下げ続くなか、身軽で機動的に出店できる店舗モデルを構築し、 益力を確保する。
  ◆  記事内容
機動的に出店
■ 洋食レストラン「ガスト」の小型版「Sガスト」はファーストフード店並みの広さで、席数は40程度。 食券の自動販売機を設置したり、食器を紙製にしたりして運営コストを抑える。今年中に5店を出店、ノウ ハウを蓄積した上で、将来の大量出店に備える。中華レストランでも「Sバーミヤン」を展開していく。
■ 天丼店「てんや」のテンコーポレーションは、持ち帰りコーナーと15席程度のカウンターに絞 った「てんやエクスプレス」を多店舗展開する。店舗面積は従来の半分の約50平方メートルで、出店費用 を6割削減した。
■ リンガーハットは来年2月までに、首都圏の10店を小型店「リンガーハットエクスプレス」に 切り替えるほか、新規に7店出店する。
小型化で損益分岐点が下がり、出店可能物件が増えた。メニューを絞り込む一方、具材やめんを輸入 品に切り替え、店舗調理を簡素化。料理を出すまでの時間を5−6分と半分に短縮して回転率を高める。 実験店舗では客単価が100円ほど下がったが、営業利益は導入前に比べ平均41%増加した。
■ 大型店に比べ初期投資を抑えられるほか、資金力の乏しい個人オーナーでもFC(フランチャイズ チェーン)出店しやすいのが利点。「個人経営の飲食店の閉鎖跡や商店街の空き店舗など、入居に適した物 件が豊富にある」(テンコーポレーション近藤博通専務)ことも、「ミニ店舗」拡大を後押しする。
小さな商圏に的を絞って出店できるのもミニ店舗の特徴。総菜・弁当のオリジン東秀はオフィス街の ランチ需要を狙い、新業態店「健善食Z・E・N」を展開する。店舗規模は主力の「オリジン弁当」の3分 の2程度。来春までに5店を出店する。「都心のすき間を狙って新たな出店の余地を探る」(山崎泰弘社長)
外食チェーンの主なミニ店舗の特徴
健善食Z・E・N
(オリジン東秀)
面積は従来の店の6割(50u)。
近隣の母店を活用。
ドトールコーヒーショップ ガソリンスタンド併設小型店、
従来店より店舗面積3割削減。
築地銀だこ
(ホットランド)
公害の路面店(10u)を展開。
クレーンで簡単に移動。
Sガガスト
(すかいらーく)
店舗面積、席数は「ガスト」の約3分の1。
駅前や商店街などに出店。
スターバックス
TOGOストア
持ち帰り専門。
駅構内やオフィスビル内に出店。
ミスターエスプレッソ
(UCC上島珈琲)
7uで、主に立ち飲みスタイル。
駅構内やオフィスビル内に出店。
マクドナルドカフェ
&スナック
ショッピングセンターの
ゲームコーナー脇などに出店。
デフレに強い体質狙う  各社、値下げ戦略には限界
 農水省の外郭団体、外食産業総合調査研究センターに よると、2002年の外食市場は25兆5,700億円強。ピークの1997年から12%減少した。
デフレによる客単価の下落、個人消費の冷え込みによる客数減が主因だ。持ち帰り総菜・弁当チェーンの 急成長やコンビニの調理済み食品などにも市場を食われ、既存の経営モデルは修正を迫られている。
従来、外食各社がてこ入れ策として打ち出したメニューの刷新や値下げなどの価格戦略にはおのずと限界 が見えてきた。そこで各社は売上高や来店客数が減っても利益を出せる体質への転換を進める。
 具体的にはメニューの絞り込みによる調理作業の合理化、店員の削減、じゅう器の見直しなど運 営コストの圧縮だ。
 小型店を軌道に乗せることで新規出店のスピードを速める狙いもある。ガソリンスタンドやショ ッピングセンターの駐車場など、従来は出店の大将でなかった小さな商圏も取り込みながら、チェーン全 体で見たシェアを高めていく戦略だ。
 外食店のダウンサイジングが進むと、小型店でコストを抑えてきたファーストフードとの垣根が 一層低くなる。すかいらーくでは新しい小型店を「ファーストカジュアル」と呼び、テーブルレストラン と違った独自の店舗運営システムに育てる。

  ■  モデル革新のための概要図
店舗モデル革新のために
  ■  コメント
 今までのモデルが効かなくなってきている。
大型店としての従来モデルの品質を高めることも当然だが、従来モデルありきではなく、 一度否定してみると新たな展開が見えてくる。それはターゲット市場によって異なる。環境の激 変で、あらゆる業界で今までのパラダイムが変化し、ゼロベース思考が必要とされている。。

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