日経記事に学ぶビジネスモデル    2004/03/22 NO.58
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■■ けいざい心理学 ココロの内外格差 ■■
日本経済新聞 2004年3月9日(火)〜12日(金)経済1 5面 14版

 概念図 連載記事の概略構造
 3月9日から12日まで、「けいざい心理学 ココロの内外格差」というコラムが連載されました。記事を単純簡略に下図のような構造にまとめてました。詳細は実際の記事を一読してください。

けいざい心理学の記事構造

 連載各回の見出し
 3/9  第1回 隣の芝生は「赤い」――価値観は色々 売れ筋に「色眼鏡」禁物
 3/10 第2回 日本人は難しい――悩む外資 「本国流」曲げ市場開拓
 3/11 第3回 つかめ異文化DNA――日本製の戦略 ツボ押さえた「品格」売る
 3/12 第4回 景況感にも国民性――政策まで左右 苦い経験いつもでも
  記事内容
 上図にあるキーワードを中心にを記事中からピックアップしてみると、(一部事例は省略)

場所、集団や時代で常識は違う
経済は必ずしも合理的とは言い切れない。こちらの常識はあちらの非常識。時に古いモノが新しく、新しいものが色あせる。東に売れるモノが西で売れるとは限らない。所が変わるとココロも変わる。
事例:日本の白物家電→中華圏「赤」、イスラム圏「金」、欧州「真っ赤、真っ黄色」

規範的影響
 「同じ文化の中にいると、集団が持っている思考が個人に影響し、仲間同士が似たような行動に傾く」(静岡県立大学・西田ひろ子教授)。社会心理学では、「規範的影響」という。

文化的自己観
 「中華DNAを理解して初めて中華圏でモノを売ることができる」(台湾の自動車大手・裕隆汽車製造・亜州技術センター、黄興儒所長)。
文化心理学では、ある文化圏で「普通の人はこうするものだ」という暗黙の通念を「文化的自己観」という。
 相手の文化的背景を理解し、個々の胸を打つ戦略を練らなければ成功しない。
 「韓国がなかなか追いつけないのは、製品が持つ品格だ」「合理性を超えた製品の完成度や仕事へのこだわりが品格の源泉だ」(神戸大学・加護野忠男教授)
 良いものは良い。ただ、製品に込められた日本の「文化的自己観」が、常に万能ではない。

トラウマ
 「人間の情報認識には限界がある。過去の経験からできあがったコンセンサスは容易に修正されない」(みずほ総研の西田雅彦シニアエコノミスト)
 連動性を高める世界経済。だが、ココロの格差はたやすく埋まらない。各国が躍起になる経済政策は、意外と「独り相撲」の面もある。
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  ■  コメント  ■

 よくターゲット(標的顧客)を明確にしたものが勝つ、といわれる。

 自らの商品・サービスを受け入れるターゲットがわかれば、確かにあとはそのターゲットにアプローチするだけだ。しかし、意外とターゲットを明確にしている企業は少ない。すべてが自分の顧客だと思い込んで営業活動をしている。

 顧客について、その属性を洗い出し、自社の製商品・サービスのなにがヒットするのか、問いかけが必要だ。アプローチやアクセスの仕方もその属性によっては違うだろうし、望まれている事が違う。

 相手にふさわしいやり方があり、その相手を選ぶならばそれにふさわしい自らになる事が求められる。

 ビジネスモデルの革新には顧客創造が必要だ。

 革新はイノベーションともいわれる。顧客に向かった小さなイノベーションの積み重ねが独自のモデルを生み出す。

 今回の記事でヒントになるのは、「規範的影響」と「文化的自己観」という視点だ。自社の顧客像をこの軸から描いてみることだ。顧客像が想定されれば、どんな情報を発信すればこちらを向いてくれるか仮説が立てられる。あとは検証するだけだ。絞り込まれた行動の結果は早く測定できる。

「顧客創造とイノベーション」について、P・F・ドラッカーからの引用

 
ドラッカーは起業家戦略をいくつか挙げ、顧客創造戦略について次のように述べている。

 ■・・・
イノベーション自体が戦略である。製品なりサービスは昔からあるものでよい。その昔からある製品やサービスを、新しい何かに変える。効用や価値、あるいは経済的な特性を変化させる。物理的にはいかなる変化も起こさなくて良い。しかし、経済的にはまったく新しい価値を創造する。

 ■それらの企業化戦略には、ひとつの共通項がある。いずれも顧客を創造する。
顧客の創造こそ、つねに事業が目的とするものである。さらには、あらゆる経済活動が究極の目的とするものである。

 ■この顧客創造戦略には、効用戦略、価格戦略、事情戦略、価値戦略の四つがある。効用戦略では、価格はほとんど関係ない。
顧客が目的を達成する上で必要なサービスを提供する。顧客にとって「真のサービスとは何か」「真の効用とは何か」を追求する。

「チェンジリーダーの条件」(262ページから引用)

▼この中で目を引くのは、「イノベーション自体が戦略である。製品なりサービスは昔からあるものでよい」「顧客が目的を達成する上で」という一節である。商品・サービスは特別なものではない、と同時に「顧客にとって」という姿勢でマーケティングを行うことが初歩でもありポイントだ。

 
イノベーションについては、

 ■・・・成功したイノベーションは驚くほど単純である。イノベーションに対する最高の賛辞は、「
なぜ、自分には思いつかなかったか」である。

「プロフェッショナルの条件」(199ページ)

▼つまりイノベーションとは、大掛かりなことを行うことではない。小さく始め、絞込み、集中して、絶えず新たな試みを実行することだ。

 ■・・・イノベーションに成功する者は保守的である。保守的たらざるをえない。彼らはリスク志向ではない。
機会志向である。(同205ページ)

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