タイトル
   2007年6月4日 第73号
日経MJ 2007年5月23日(水)付け トップ
異色技+SPA 消費者”染める” 福井の老舗染色メーカー「セーレン」

   記事内容からのピックアップ

 <記事リード>
 繊維産業集積地の福井県に本社を置く創業約12年の老舗の染色メーカー、セーレンがSPA(製造小売)事業を通じて消費者と直結すえるビジネスモデルに挑んでいる。主力は自動車内装材で業績は好調だが、消費者向けファッション事業にあえて切り込む。

 アジア風プリント柄婦人衣料品店「マッシュマニア」を2001年誕生させ、全国に9店舗展開中、ネット通販を含めた売上は07年3月期10億円超になっている。

 同社のSPA事業強化の実績と今後の取り組みは、次の通り。
・04年からネット通販開始。07年3月期の年商は2億5千万円。
・09年3月、横浜市の商業施設「モザイクモール港北」に独自ブランド子供服「リリニルス」一号店出店。年内に二号店出店計画。
・04年「ビスコテックス」を使ったブランドを立ち上げ50点に卸売り。


 同社のコンセプト、戦略は、記事見出しを追いかけると次の通りに集約される。

S:鮮度で勝負→1枚から追加注文。2週間で生産・納品

P:パソコン直結→IT化・流通ダイレクト化。次世代ネット通販につなげる戦略。

A:新たな成長→川上・川下両にらみ。SPA事業の強化は種まき。


 記事の最後は次のように締めくくっている。これがセーレンの目指すところだ。

「SPAを進化させ、最終的に消費者から直接受注し、在庫を持たずに短期間で届けることで、収益性は大きく向上する青写真を描いている」
   SPAってなに?

 アメリカの衣料品小売大手GAPのドナルド・フィッシャー会長が1986年に発表した
 「Speciality store retailer of Private label Apparel」の頭文字を組み合わせた造語と言われています。

 製造から小売までを垂直統合した販売業態といえます。

 日本では「ユニクロ」「良品計画」など挙げられるということです。いずれも小売業です。
 アパレル関係では「ファイブフォックス」「サンエー・インターナショナル」「ワールド」などが挙げられるそうです。

 よく小売業が取り上げられるのは、消費者との接触頻度やフロントエンドでのコミュニケーションが密だからでしょうか。

  すべてはSPAへ

 このコンセプトで言えば、自動車産業はすでに、製造側からのSPAと言えなくもない。
 消費者ニーズを販売の最前線で捉え、色・内装・備品・機器など結構細かなスペックの車を提供しているからです。
 つまりすべてはSPAのコンセプトで動いているということですね。

 今回は染色メーカーが消費者に自ら近づき、小売業(店舗)までやってしまうということで注目されたのでしょう。

 自社独自に培ってきた染色技術の優位性を生かし、その技術の及ぶ範囲を広く、深く追求して事業化していくのは並みの企業ではできないことです。

 トップリーダーの未来を見据えたビジョンと戦略、強力なリーダーシップが脈打っている。

   セーレン株式会社
繊維産業集積地福井県で創業120年の老舗 http://www.seiren.com/
上図のTシャツ絵柄は同社ホームページ「マッシュマニア」ホームページデザインから取り入れました。

   マッシュマニア
アジア風プリント柄婦人衣料品店 http://www.mashmania.jp/
「マッシュ」とはつぶす、まぜる、ぐちゃぐちゃにするという意味。マッシュマニアはまさに、大胆なデザインや個性的な柄がつまったごちゃごちゃのオモチャ箱のよう。(同ホームページより)
座右の戦略立案支援フォーム「ソリューションスーツ」
   SPAというキーワードに関する情報

 SPAに関す情報を何個か集めてみました。

 マーケティング用語集 【SPA】 J-marketing.com http://www.jmrlsi.co.jp/menu/yougo/my08/my0810.html

 リアルタイム・リテール キーワード【SPA】 http://premium.nikkeibp.co.jp/retail/keyword/07.shtml

 大手衣料品製造小売(SPA)の米リミテッド・ブランズ社、SAP を採用
 http://www30.sap.com/japan/industries/consumer/newsevents/press.epx?pressid=3813

 関連したマーケティング用語としては、AISASがインターネットでのコミュニケーションで概念として確認しなくてはなりませんね。このAISASについては次回以降に触れて生きたいと思います。