10年にわたる出版市場低迷に苦しむ書店経営。毎年1000店前後の書店が姿を消しているという。書店経営で生き残り探る中で3つのキーワードが浮かんできた。記事ではそれは情報力(J)、複合化(F)、系列化(K)としている。台頭著しいネット書店(通販)、異業種との連携で集客力を図るなど現在に書店にない業態の活用が見えてきた。そんな現状を特集していた。
情報力(J)について:共通POSで武装、売れ筋兆候すばやく把握
・紀伊国屋書店POS(販売事典情報管理)「パブライン」。同社の販売動向を5分後とに補足。購入者数、仕入れ数と比べた消化率、類似書との比較などが簡単に分析できる。出版社約280社に有料(月10万円)で開放。同社は在庫の適正、発注の適正、死に筋排除に活用。
・約60点が結集するネット21(東京・目黒)では共通POSシステムで売上データを集め、出版社に販売実績を示し、売れ筋の本を届けるよう交渉する。売れ筋の本は大手書店に流れやすく、中小は品切れのまま追加注文が届くまで待っているというケースを打開したい考えだ。
・三洋堂書店(中部地域・80店舗あまり展開)は昨年11月株式公開を果たした。情報をうまく活用し過疎地への出店で急成長を遂げている。書籍を数百ジャンルに分類し、カテゴリーディレクター制をとり、内容や作者の人気度から仕入れ優先リストを毎週作っている。各店はリストもとにコピー棚を作成、一冊売れると同ジャンルの上位商品を自動発注する仕組みもある。
複合化(F)について:雑貨・カフェ併設、駅ナカ中古店。。。
・札幌市郊外のコーチャンフォー新川通店。国内最大の売り場面積ワンフロアーが約8600平方メートル。圧倒的な大量陳列。店内にはカフェレストラン、国内メーカーの新譜すべてが入荷するCD・DVDコーナーがある。「三世代楽しめる本屋を追い求めた」という。
・大阪市の旭屋書店の新業態「KuLaSu」は本を使って日常生活を演出する。料理本と調理器具を置く「キッチン」、ぬいぐるみや絵本を飾った「子供部屋」、通路を挟んでビジネス書が並ぶ「会社」などのゾーンがある。テーマ陳列で必要在庫を絞って効率性を探る。
・広島市のフタバ書店は3月にJR広島駅構内に中古書店を開店。ターゲットは出張族。東京や大阪で最新のビジネス書を買い、移動中に読みきって、駅構内の中古書店で売る、というモデルだ。新刊は駅隣接同社大型店にあり、駅一帯で複合化を実現している。
系列化(K):取次ぎが橋渡し。地域の枠超え合従連衡の芽
・地方では出版取次ぎによる出資、人材支援が系列化で活路を探る場合が出ている。
・書店同士が戦略的な提携を行うケースも出ている。
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